2017年09月07日

ソニーフィルハーモニックオーケストラ 第31回演奏会

sonyフィル.jpg指揮:橘直貴
<曲目>
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
シューマン:交響曲第4番(1841版)
ブラームス:交響曲第2番

高校の部活の大先輩がチェロで演奏されるので、聴きに行きました。
ここの定期演奏会は、毎回時期が変動するとのこと。ちなみに次回は6月開催だそうです。
ほかの演奏会との兼ね合いの関係かと思いましたが、楽団の都合ではなく、ホールの確保状況によるからだとのこと。
毎回同じ時期に開くことよりも、いいホールが取れた時を優先するというのが、また音響にこだわるソニーらしい決め手です。

さすがはソニーというべきか、全体的に安定した聴きやすい演奏。
客層もさすがはソニーというべきか、男性が多く、割とカジュアルな格好の方が多かった印象を受けました。

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ミューザ川崎外観。入り口前ではライブが行われていました。


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いつ来ても圧倒される、このホールのデザイン的な美しさ。


今回の曲目は、シューマンとブラームスの交響曲。
お互い親交があった2人の曲なので、どこか通じるものがある感じがします。
シューマンの交響曲第4番が「1841版」と書かれているのは、初稿版だという意味だそうです。
後の1853年に改訂版を出しているものの、ブラームスは1841年の初稿版の演奏も気に入り、1889年に演奏された後に、再度出版されることとなったそうで、つまりは交響曲第4番は、2つバージョンがあるそうです。

ブラームスの交響曲第2番は、1877年作のもので、その2年前にウイーン・フィルにチューバ奏者が招聘されたこともあり、チューバとトロンボーンがともに演奏する楽譜が作られたのだそう。
そうした歴史的な事情を知ると、また興味深く聴けるものです。
ブラ1を20年間かけて作ったブラームスでしたが、このブラ2はたった3ヶ月で作ったというのもおもしろいところ。
次回、ブラ1を聴く時には、チューバが登場しているのかチェックしようと思います。

これまで気づきませんでしたが、奥の方の通路に、このホールで演奏した著名音楽家のサインが飾られていました。

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オーボエ奏者、今は指揮者の宮本文昭氏。


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天国に行かれた中村紘子氏。


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イーヴォ・ポゴレリッチも来ていたとは。いつか聴きたいピアニストです。


館内ミュージックショップ「プレリュード」の絵が上手で、足を止めて見とれました。

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まごうことなきバッハ!
posted by リカ at 15:43| Comment(0) | 【music】Classic・オーケストラ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月24日

SPITZライブツアー「30th ANNIVERSARY TOUR“THIRTY30 FIFTY50”」

8月23日@横浜アリーナDH6oMDKU0AEypmt.jpg

スピッツ結成30周年目のメモリアルライブに行きました。
もともと好きなバンドだったことに加えて、友人がドラマー崎山さんの熱烈なファン。
旅行がてら友人の家に遊びに行くたびに、夜な夜なスピッツのDVDを見せてもらっているうち、そのスピッツ強化合宿の成果が出て、いつしかけっこうな数の曲に馴染んでいました。

『スピッツ 横浜サンセット2013 -劇場版- リバイバル上映』(→感想)も、一昨年友人と一緒に映画館で鑑賞しています。
ライブのおさらいはできていますが、実際に彼らのライブに行くのはこれが初めて。
当日を楽しみに待ちました。

久しぶりの暑い真夏日。一緒に行く友たちと落ち合って、お茶をしてから向かいます。

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京甘味 文の助茶屋

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友人たちは甘酒

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私はグリンティフロート

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開演のずいぶん前からアリーナ前には行列ができています

開演と同時に入った時には、ずらりと席が並ぶ巨大なアリーナに圧倒されました。
この席が全部埋まるのかしら〜と思いましたが、時間になったら見事にびっしり埋まっていました。
照明が落ちると、グッズのバッジが、そこかしこでキラキラ光って、とてもきれい。

変わらないように見えるメンバーは50歳になり、ファンクラブの会報は100冊目を迎えています。
今回が横アリ初単独ライブだと聞いて驚きますが、メンバーたちが、1万人規模の大きなアリーナよりも小さめのホールでの公演をこれまで好んできたからのようです。
「横アリにはこれまでASIAN KUNG-FU GENERATIONのイベントと、RADWIMPSの前座で(え?)2回来ました」とマサムネ氏が言って会場を笑わせます。

なんと今回が、スピッツ1000回目のライブなんだとか!!
「よくわからないし、きちんと数えたらわかるんだろうけど、まあ今回ってことにします」というアバウトな感じで、公式発表されました。
30周年、50歳、1000回目という、キリ番尽くしのすごい会で、会場は大盛り上がり。
まさにメモリアルタイムに参加できたことになります。

スピッツのファンは、みんなお行儀がよさそうなので、演奏は座って聞くのかな?と思いましたが、ところがどっこい、最初からみんなスタンディングでノリノリでした。

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物販ブースも大賑わい

時々入るトークタイムのゆるい感じがいいです。
「年になってきたら、どんどん話が長くなるんだよね」と言いながら、自分たちがロックバンドと思われていない話や、あまりに普通の格好なので、いつも関係者口から入館するのが大変な話などを教えてくれました。

田村リーダーは、サカナクションの楽屋に間違えて入って、ソファーに落ち着いたところで間違いに気づいたとか。それが彼らとの最初の出会いだったとか。(先輩なのに!)

そんな脱力系の話をしながらも、「最後まで楽しませるから!」「すてきな夜にするからさ、最後までついてきてくれ!」と、ビシッと決めてくれるところはさすが。

古いイメージだった横浜アリーナでの久しぶりにライブでしたが、建物がリニューアルしてパワーアップしたようで、音が変にぼやけることもなく、クリアに届きました。
武道館とはかなり違う音響。

舞台照明もとてもマジカルで、曲ごとに変わり、イメージを壊さずに表現していました。
中でも感激したのは、青い光に包まれて聴いた「ロビンソン」。
アリーナ全体が宇宙の風になりました。ルララ〜♪
「正夢」では、キラキラの紙吹雪が大量に舞い続けて、アリーナがスノードームになったようでした。

聴きなじんだ曲がたくさん登場して、ずっとハッピーが続きます。
知らなかったのは、ほんの数曲でした。
どんな神ライブなんでしょう。
最初から最後までずっとクライマックス状態の熱いステージに、釘付けです。
全部で20曲以上歌ってくれて、アンコールは2曲。
18時半に始まり、終わったのは22時近くでした。

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感想は、一言で言って「ファンタスティック」!
メンバー全員、すばらしいパフォーマンスを見せてくれた、満足度が高いライブで、ますます彼らのファンになりました。
それもこれも、英才教育を施してくれた友人のおかげです。さっちゃん、スピッツの世界にいざなってくれてどうもありがとう!

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乾杯!

posted by リカ at 17:40| Comment(0) | 【music】Rock, Pops, R&B | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月12日

「レオナルド×ミケランジェロ展」ブロガー特別内覧会

28.jpg7月11日 at 三菱一号館美術館
by 岩瀬 慧(展覧会担当学芸員)、
「青い日記帳」主宰 Tak氏

三菱一号館美術館でこの日より開催が始まった「レオナルド×ミケランジェロ展」。
イタリアルネサンス期の巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci 1452年 - 1519年)と、ミケランジェロ・ブオナローティ(Michelangelo di Lodovico Buonarroti Simoni 1475年 - 1564年)。この2人の芸術家を比較した展覧会になっています。

見どころは素描(ディゼーニョ=デッサン)。
2人のデッサンを「顔貌」「絵画と彫刻のパラゴーネ」「馬」「万物への関心」「書翰、詩歌」といったテーマ別に対比させた展覧会は、日本では初の試みとなります。

担当学芸員の岩瀬慧氏と美術ブログ「青い日記帳」のTak氏に、美術館館長も加わっての説明会となりました。

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展覧会の構成は以下の通りです。

   序章:レオナルドとミケランジェローそして素描の力
    1:顔貌表現
    2:絵画と彫刻:パラゴーネ
    3:人体表現
    4:馬と建築
    5:レダと白鳥
    6:手稿と手紙
   終章:肖像画

注:会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

1:顔貌表現

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レオナルド・ダ・ヴィンチ『自画像』(ファクシミリ版)
1515-1517年頃 トリノ、王立図書館


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マルチェッロ・ヴェヌスティ(帰属)『ミケランジェロの肖像』
1535年以降 フィレンツェ、カーサ・ブオナローティ


15年ぶりに《レダと白鳥》の絵画制作に取り掛かることとなったミケランジェロは、かなり気合いが入っており、丁寧な素描を残しています。
かし、骨格が男性っぽいため、この絵のモデルとなったモデルは男性と判明。
女性らしく見せるためにまつげを長く書き込んでいるそうです。

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ミケランジェロ・ブオナローティ『《レダと白鳥》の頭部のための習作』
1530年頃 フィレンツェ、カーサ・ブオナローティ


レオナルドは左利きで、左上から右下へのハッチング(細かい線を引くこと)が多い反面、ミケランジェロは右利きで、クロスハッチング(斜線を交差させる描き方)をしています。この線は、素描だからこそ分かるものになっています。

2:絵画と彫刻:パラゴーネ

ルネサンス期、絵画と彫刻のどちらが優れているかを問うパラゴーネ(比較芸術論争)が起こります。
レオナルドは、絵画が二次元の平面に立体感や奥行きを作り出すため優勢だと主張しました。

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レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく『聖アンナと聖母子』
1501-1520年頃 フィレンツェ、ウフィツィ美術館


ルーブル美術館所蔵の本人による同名の作品とかなりそっくりに描かれたもの。
背景が少し異なる程度です。

同じ赤ん坊を90度回転した角度から描いたデッサンが、2枚並んで展示されていました。
ダ・ヴィンチの作品を手本として学んだ弟子の作品です。
当時の画家は、弟子を抱えた工房で作品を制作しており、師匠が描いたデッサンを弟子が鍛錬のために模写することが、日常的に行われていました。

5:レダと白鳥

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(右)フランチェスコ・ブリーナ(帰属)『レダと白鳥(失われたミケランジェロ作品に基づく)』1575年頃 フィレンツェ、カーサ・ブオナローティ

(左)レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく『レダと白鳥』1505-1510年頃 フィレンツェ、ウフィツィ美術館

「○○に基づく」と書かれているのは、○○のオリジナルを元にして、別の人物が描いた作品ということです。
どちらの作品も、既にオリジナルは存在しませんが、弟子が参考にしながら描いた作品が残されています。

『レダと白鳥』は白鳥と乙女がモチーフとなった美しい作品ですが、画像右側のミケランジェロ作品に基づいた方は、姫ががっしりした体型をしているため、多少違和感を感じます。
これは、男性モデルを使ったからだそう。
逆に、画像左側のレオナルド作品に基づいた方は、白鳥がかなり男性的に描かれています。
並べて鑑賞してみると、好対照の描かれ方となっている2作品でした。

6:手稿と手紙

レオナルド・ダ・ヴィンチは、なんでもできるマルチな天才だと思っていましたが、「無学の人間」と自らを語っていたと知って、驚きました。
彼は鏡文字などを駆使していながら、ギリシア語・古代ローマ語ができないことから、そう言って「無学」のコンプレックスを抱えていたそうです。
どんな天才にも、悩みはあるものですね。
『トリヴルツィオ手稿』の第30紙葉表「語彙の一覧、男性の横顔」は、びっしりと言葉が書き込まれたノートで、受験生の単語ノートを連想させるものでした。

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レオナルド・ダ・ヴィンチ『解剖手稿』(ファクシミリ版)第198紙葉表「子宮内部と胎児の研究」1511-1513年頃 [ウィンザー城王立図書館]

その横に、細かく正確な子宮内部の胎児図が描かれたノートが陳列されており、その詳細なデッサンに見入り、しばし前から動けませんでした。

終章:肖像画

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ミケランジェロ・ブオナローティ『十字架を持つキリスト(ジュスティニアーニのキリスト)』1514-1516年(未完作品、17世紀の彫刻家の手で完成)
バッサーノ・ロマーノ、サン・ヴィンチェンツォ修道院付属聖堂

今回の展覧会では、通常1階のスーベニアコーナーになっている部屋に、大理石でできた2500(キリスト像だけで2010)mmもの大きな銅像が、展示されていました。
この美術館では、スーベニアコーナーも展示室として使えるように作られているそうです。

このキリスト像は、近年になってミケランジェロ作品だだと認められたものです。
作成依頼を受けて大理石を彫り進めていくうちに、顔の左側に黒い傷が出てきたため、ミケランジェロが作成を放棄したもの。次に作られた第2バージョンは、教会に据えられており、これはその知られざる第1バージョンになります。

「全裸のキリストというのがとにかく珍しい」と館長。確かに、これまで見たことはありません。
通常は禁止事項の中に入るものですが、巨匠・ミケランジェロだから作成できた古代キリスト像。
キリストとアポロ像の合体として作られた古代彫刻となっています。

ミケランジェロが放棄したことで未完成だったこの像に、別の彫刻家が手を入れて、17世紀には完成形を取っていたとのこと。数奇な運命をたどり、今回遠い日本までやってきました。
こちらの像は撮影可。360度周って、全ての角度から彼の彫刻の力強さを確認できます。

このキリストは、「コントラボスト」という左足に重心を置き、右足を浮かせた状態をとっています。
どこか女性風でもあるこの立ち方は、銅像によく見られますが、私はボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』を連想しました。

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ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」
1485年 フィレンツエ ウフィッツイ美術館
参考画像:今展覧会には出展されていません


23歳離れていたとはいえ、「宿命のライバル」と言われ、互いを強く意識していた二人。
静的で分析的な作品を残した科学者肌のレオナルドと、動的で生き生きとした作品を残したミケランジェロの作風は、似ているようでやはりそれぞれ異なっており、今回は両者を比較できるいい機会となっています。


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左は"最も美しい素描"といわれるレオナルド『少女の頭部/「岩窟の聖母」の天使のための習作』


「レオナルド×ミケランジェロ展」[公式サイト]
会期:2017年6月17日(土)〜9月24日(日)
休館日:月曜休館(祝日は開館)
会場:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2) 
posted by リカ at 17:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 【finearts】西洋画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月03日

没後20年 司馬遼太郎展「21世紀“未来の街角”で」

そごう美術館 (2017.6.30)
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司馬遼太郎の回顧展。もう亡くなられてから20年たったんですね。
没後20年にあたる昨年から国内6カ所での巡回予定。北九州、大阪、高知、そして横浜が4会場目。
東日本地区では唯一の開催地になります。司馬さんファンは関西の方が多いんでしょうか。
タイトルに横浜開港158周年も含まれているということは、彼の作品で横浜の開港が語られることがあったからではないかと思います。

全3部構成。作品の刊行年順ではなく、作品の描かれた時代別にまとめられており、日本の歴史に沿って話が紹介されているため、ディープなファンでなくてもわかりやすく追って行けます。
作品ごとにまとめられ、自筆原稿のほか、登場人物の関係資料、関連する絵画などが展示されています。

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T「戦国動乱 16世紀の街角」
U「維新回天 19世紀の街角」
V「裸眼の思索 21世紀の街角」


入り口には傘を持って歩く司馬氏のシルエット、入ってすぐには、『竜馬がゆく』の新聞連載のコピーがびっしりと壁に貼られたコーナーがありました。

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会場内は、ご年配の男性がほとんど。数人で来ては、小声で話をしながら熱心に一つ一つの資料に見入っています。
女性の姿は数人しか見えず、みんな夫婦で来ている風で、女一人は私くらいでした。
歴史を扱っているだけに、男性に人気の高い作家なんですね。
そしてそごう美術館には、普段は部屋ごとに学芸員がいますが、今回は何故かガードマンがいました。
美術展ではないからでしょうか?

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T「戦国動乱 16世紀の街角」
歴史とともに描いた戦国時代の人々の鮮烈な生きざま。
作品ごとにコーナーにまとめられています。

『国盗り物語』(1965-1966年)
斎藤道三、織田信長、明智光秀の物語。
本能寺の変で敵と味方に分かれた信長と光秀は、どちらも斉藤道三の相弟子同士だったと知ります。
「天下布武(天下を武力で制するという意)」と書かれた織田信長の黒印状。
斎藤道三の遺言状を司馬氏が書き写した色紙がありました。
もうこのブースだけで(この展覧会、すごいんじゃない?)と驚いています。

『箱根の坂』(1984年)
北条早雲の「虎の印版」がありました。うーん、見るのも初めて。貴重です。
小説の場面に合わせた絵画も合わせて飾られています。
大きな金屏風は大阪城博物館所蔵物。ゴージャス!

『関ヶ原』(1966年)
歴史資料の「関ヶ原合戦配置図」が展示され、「関ヶ原合戦図屏風」のレプリカも飾られていました。

『功名が辻』(1965年)
NHK大河ドラマ化されたこの作品では、ドラマの撮影で使用された山内一豊の甲冑とその妻千代の打掛が飾られていました。
間近で見られたので、しげしげと観察。どちらも非常に細かいところまで行き届いた縫製でした。

ほかに『城塞』『播磨灘物語』など、多くの作品コーナーで自筆原稿を展示していますが、そのどれも、すごく直しています。
5色に色分けして、消したり加えたりの推敲の多さに驚き。
天下の名作家といえども、訂正に訂正を重ねた努力の末に、作品を仕上げていったことがわかりました。

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U「維新回天 19世紀の街角」
開港を迎えて近代国家へと大きな変貌を遂げる時代。

『竜馬がゆく』(1963-1966年)
坂本龍馬の書簡(複製)や薩長同盟の裏書きがありました。
歴史が動く音が聞こえてくる気がします。
新聞連載時に挿絵を担当した岩田寿太郎氏の原画もありました。 

『燃えよ剣』(1964年)の土方歳三の鉢金(複製)、
『新選組血風録』(1964年)の近藤勇の髑髏模様の稽古着(複製)もありました。
髑髏模様は、なかなかに迫力のあるスケルトンでした。

『胡蝶の夢』(1979年)
「胡蝶 夢」と書かれた自筆色紙があり、素敵な言葉なので、司馬氏が好んで色紙に書いた言葉かと思ったら、そういうタイトルの作品でした。

『坂の上の雲』(1969年-1972年)
こちらもNHK大河ドラマ化されたもので、秋山好古、秋山真之の兄弟や、正岡子規の撮影時の服装が展示されていました。

"横浜に触れた本"というコーナーには、『峠』(1968年)、『世に棲む日日』(1971年)、『花神』(1972年)など6、7冊の作品が並んでいました。
『花神』では、大村益次郎の細かな計算が記された数学ノート、『峠』では、河井継之助のガトリング砲(模型)が展示されています。

また、デビュー前に住んでいた大阪マンモスアパートの文机がありました。
正座をして収まる、小さな座机です。
ここで新聞記者時代に直木賞を受賞した『梟の城』を執筆したんだなあと思いながら眺めました。

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V「裸眼の思索 21世紀の街角」
エッセイの『街道をゆく』『この国のかたち』『風塵抄』、そして子どもに向けた「二十一世紀に生きる君たちへ」が紹介されています。
『街道をゆく』(1971年 - 1996年)は、絶筆するまで手掛けていた最長シリーズで、ライフワークと言ってもいいものでしょう。43巻出ており、海外版もあるとは知りませんでした。

「二十一世紀に生きる君たちへ」
シンプルな文章ですが、非常に意味深いものを感じます。
"君たちだけが持っている大きなものがある。未来というものである。
私の人生は、すでに持ち時間が少ない。
例えば、二十一世紀というものを見ることができないにちがいない"

彼の作品は本格的な歴史小説で、量が多くなかなか難しいというイメージがありますが、壁いっぱいに展示された「二十一世紀に生きる君たちへ」の全文には、次の世代への気持ちがつづられています。
あれだけたくさんの文章を紡いできた人ながら、削いで削いで削ぎ落した、非常にシンプルな文章のために、すとんと頭に入ります。これが最終的に彼が人々に残したかった言葉なんだろうと思いました。

最後のコーナーでは、司馬さんからの「二十一世紀とは、どんな世の中でしょう」という語りかけに、来館者たちがさまざまな答えを付箋に書いて、ペタペタと壁に貼っていました。

私は、司馬遼太郎記念館(大阪府東大阪市)からのノートブックに感想を書いて、あとにしました。

彼の緻密な作品構成から、その小説は完全な正史、正論のように思えますが、そうとは限りません。
作者が惚れ込んで描く主人公たちは、みんな青雲之志を掲げて活躍する凛とした格好よさがあります。
歴史に色付けをして主人公たちを生き生きとよみがえらせることで、歴史の面白さを人々に教えた彼は、今も変わらぬ偉大なエンターテイナーなのです。

この回顧展を観て読んでみたくなった彼の作品は
『梟の城』、そして「街道をゆく」の『横浜散歩』『十津川街道』。
もともと長宗我部元親の本が読みたくて『夏草の賦』 もチェックしていましたが、まずは有名なところから読み始めたいと思います。

7月9日㈰まで横浜・そごう美術館で展示。
その後は、愛媛県美術館、姫路文学館で展示予定です。

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2017年06月28日

歩行のメソッド 〜自分の美しさを知る〜

2017年6月17日(土)at 千駄ヶ谷社会教育館
by 矢田部 英正 [ 日本身体文化研究所 所長 ]、(c)シブヤ大学

最近、ウォーキングが見直されていますね。少し前までは、1日1万歩歩けばいいと言われていましたが、最近では、歩数よりも歩き方が見直されつつあります。
誰もが無意識のうちに歩いているため、とても簡単なものだと思われがちですが、間違った歩き方では、せっかく歩いてもあまり効果が出ないどころか、変に癖がついた歩き方だと、逆効果になる可能性も生じます。

今回は、初心にかえっての歩き方講座。さまざまな年代の人が参加しました。
まずは、みんなで何も考えずに歩いてみて、その様子を動画に取り合います。
それから、先生のレクチャー。

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日本に来た西洋人は「日本人は歩き方が変だ」という感想を持つそうです。
-確かに私の海外の友人も、来日時に驚いていました。
とりわけ若い女性が内またでポテポテと歩く様子が奇異に映るようです。
これは、足全体を使っていないから。
西洋人はかかとから地面につき、重心を乗せて前に踏み出します。
そのため、西洋人が日本で買った靴を履くと、まずかかとがダメになるそうです。

内または、かわいらしさを表すだけでなく、日本舞踊から来ている伝統的なもの。
日本は、生活スタイルは西洋式になりましたが、歩き方だけ、まだ日本式なので、外国人の目にはおかしく映るようです。

以前先生が調査したところ、女子大生の97%が外反母趾であり、健康な脚は3%のみだったそう。
問題は見た目だけではありません。正しい歩き方をしないと、脚の骨格が歪んでしまいます。
それには、自分で意識することが大切だということです。

とはいえ、今回は「美しい歩き方」は目指さないという先生。
あくまで「自分に合った歩き方」を探すのが目標なのです。
人の骨格はひとそれぞれ。自分にとって無理のない自然な歩き方をすれば、それが美的な印象につながっていくというわけです。

日本人は、着物を着た時のすり足の意識が残っているため、歩く時に膝が伸びておらず、歩幅が小さく、ちょこちょこ歩くそう。
ずるずると靴を引きずって歩くのは、日本人だけだそうです。 

着物を着た時には、膝を曲げてすり足になる歩き方でいいのですが、洋服を着ている場合には、やはり西洋式の立ち居振る舞いが合うものです。

和服を着た時には指先に、洋服姿の時にはかかとに体重をかけます。そしてまっすぐ立ち、目線を高く持つだけで、背筋は伸びます。
西洋の歩き方というと、ファッションショーのモデル歩きを連想しますが、あれは見せ方の表現で、腕はわざわざ振らなくてもいいのだそう。

適切な歩き方を知った上で、今度は実践です。
近くの人とペアを組んで、互いの手の指に触れ、骨をなぞってもらいます。
それから素足になり、指のどれかを押してもらます。
普段、素足で生活していないため、自分の足のどの指を押されているのか、なかなか当てられないことに驚きます。
そうやって、自分の手足の骨格に意識を向けます。
これまで自分の骨に注意を払うことなんてありませんでしたが、不思議なことに、これで見違えるほどに体幹バランスがよくなります。

すると、歩き方にも変化が。
骨格を意識したことで、足の裏全体を使って歩くようになりました。
ふたたび動画に撮ってもらうと、我ながら違いがはっきり分かります。
前よりもスッキリと歩けていました。
めいめいに歩き方の変化を実感して、参加者からは驚きの声が上がりました。

「かかとから歩きなさい」と言われて、その通りに歩こうとすると、頭で指令を出すことになるため、ぎこちない動きになるんだそう。
自然な動きは無意識から。考えずに身体が動くようになるには、練習が必要だそうです。

これが、自分の骨格に合わせた歩き方。
無駄な筋肉を使わないため、血の巡りが良くなって、肌がきれいになり、心が爽快になるそうです。いいことづくし!

参加者の皆さんは、はじめは静かに、おとなしそうに会場に入ってきましたが、受講後には生き生きと胸を張って、颯爽と帰って行きました。
意識ひとつで歩き方が変わり、歩き方ひとつでその人の持つ雰囲気も変わるんだなあと実感できた授業でした。

* こちらのレビューは、シブヤ大学公式サイトの
「歩行のメソッド 〜自分の美しさを知る〜」授業レポートにも
写真と一緒に掲載しています。

posted by リカ at 14:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 【events】体験コース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする