2016年06月23日

日本磁器誕生・有田焼創業400年「400年 有田の魅力展」内覧会

2016.6.22
at 東武百貨店 池袋店 8階催事場
copy 「美を宿し、用を叶えて400年。」
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佐賀の磁器、有田焼が今年で創業400年を迎えることを記念して開催される展覧会。
開幕日前日に行われたオープニングセレモニー&特別内覧会に出席しました。
上品さと華やかさをあわせもち、江戸時代からヨーロッパ貴族にも愛されてきたという有田焼には、世界中にファンがいます。

オープニングセレモニーには、人間国宝で陶芸家の井上萬二氏(写真中央)、日本文学研究者・コロンビア大学教授のドナルド・キーン氏(写真左)が登壇。

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人間国宝の方のお話を聞けるチャンスはなかなかありません。
華やかな色柄が特徴の有田焼の中で、白い磁器にこだわっているという彼の作品は、どれも幻のような透き通る美しさで、目を奪われました。

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「白磁菊彫 文鶴首花瓶」 <径29×高さ36.5cm>(現品のみ、2,160,000円)

また、小さいころから名前を知っており、いつかお会いしてみたいと思っていたドナルド・キーン氏の御姿を拝見できて感激しました。
今年94歳とのこと。ユーモアを交えた挨拶をしていただきました。

その後、会場内で3名のエキスパートによる特別内覧会が行われました。
 陶芸家(人間国宝) 井上萬二氏 「400年の匠の技」
 佐賀県立九州陶磁文化会館館長 鈴田由紀夫氏 「有田焼の歴史」
 フードスタイリスト 遠藤文香氏 「食卓を彩る豆皿コーディネイト」

鈴田館長から、有田焼の400年の歴史を、時代時代の作品の紹介を受けながら解説していただきました。
初期伊万里様式から古伊万里金襴手様式など約20点の作品がブースに展示されており、様式の変遷を見ながら有田焼400年の伝統と発展を感じることができました。

これまで「伊万里」と「有田焼」の区別がよくついていませんでしたが、「有田」は器を作った場所で、「伊万里」は器を積んだ港の名前だそうで、結局同じものを指すそうです。
初期のものは「有田焼」ではなく「初期伊万里」と呼ぶのだそう。
それで「古伊万里」という言われ方をするんですね、と、「なんでも鑑定団」の中島誠之助氏を思い出しました。

はじめのうちは、青色しかなかったため、初期伊万里は青の単色だそうです。
また、地は白くはなく、少し茶味がかっています。
それが素朴で温かいというファンが多いとのこと。

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初期伊万里様式 染付松竹梅文皿 1610-1630年代


途中段階でも器は分厚く、発色は濃く、時に歪みが見えたりもします。
その田舎っぽさが残る点がむしろ魅力だというファンもやはり多いとのこと。

地の色が青白い時には青は映えますが、赤は沈むそう。
ミルキーホワイトだと赤が映えるそうです。
有田焼の印象的な赤色は、地の色を反映させた発色効果だと知りました。

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柿右衛門様式 色絵草花鶴文輪花皿 1670-1680年代


そうしたものから、時代を経て洗練されていき、日本の伝統にヨーロッパの嗜好が加味されて、見違えるように鮮やかなものに変わっていく様子はドラマチックです。
ドイツのマイセンがコピーしたというのも頷ける美しい色合いを楽しみました。

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マイセン窯 色絵花盆八角皿 1740年代前後


美しさと機能性を兼ね備えた現15代柿右衛門の作品もありました。
2014年に襲名したばかりですが、1600年から続くこれまでの柿右衛門の手がけた作品にはないモチーフの作品を発表するなど、伝統をもとに更なる進化をとげているとのことです。

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十五代酒井田柿右衛門の作品


有田焼というと、ものものしいイメージもありますが、遠藤氏には、料理と豆皿のコーディネイトを通じて、日常生活にさりげなくカジュアルに取り入れられる、小さな豆皿についてのレクチャーをしていただきました。
会場には、彼女がディスプレイを手がけた「食卓を彩る豆皿コーディネイト」ブースも設置されています。

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会場には、現代有田焼を代表する井上萬二氏、十四代今泉今右衛門氏、十五代酒井田柿右衛門氏といった28名の作家の作品や、源右衛門窯、香蘭社、深川製磁といった人気窯元の作品などが展示されています。
また陶芸作家や伝統工芸士が工房で行っているろくろ成形・絵付けの実演を行い、匠の技を披露してくれます。
展示品は、気に行ったらその場でお買い上げできるようになっていました。
本日から開催。6日のみの展示です。

■開催概要
タイトル : 日本磁器誕生・有田焼創業400年「400年 有田の魅力展」
日  時 : 2016年6月23日(木)〜6月28日(火)
場  所 : 東武百貨店 池袋本店 8階催事場
営業時間 : 10:00〜20:00 ※最終日は17:00閉場

ネット通販市場の動向 〜小売市場をリードし、変えていくネット通販の実態を探る〜

2016.6.22
by 公益社団法人 日本通信販売協会理事 柿尾正之、PLUS+

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今回の赤坂コミュニティカレッジのお題は、ネット通販市場について。
普段よりもビジネスマン風の参加者が目立ちます。
国内の話かと思ったら、全世界的な動向を語ってくれる壮大なレクチャー内容になっていました。

講師はたくさんのデータを紹介してホットな状況を教えてくれましたが、自分の情報処理能力はそれに追いつかず、分かる範囲での感想となります。

ここ近年でのネット通販市場の拡大は目覚ましく、販売額は継続的に上昇中。
長い不況も関係ないほどの売り上げです。
分野別市場でも、デジタル分野は物販やサービスの3倍の高い伸び率となり、一人勝ちといった状態にあります。

メディアの広告費は、テレビや新聞がほぼ横ばいなのに対し、インターネットのみが上昇中。
顧客は男性利用率が増加し、利用媒体はスマホやタブレット端末等のネットが急上昇しています。

そうした動向を踏まえて、ビジネスモデルの新しい構築がなされつつあるところですが、売上高上位の通販企業は、10年前は千趣会やニッセン、アスクルといった通販大手が上位を占めていたのが、現在は10年前には10以内にランクインしていなかったアマゾンが1位。
アマゾンはめざましい発展を遂げています。

小売業はデジタル化とディスラプション(秩序の崩壊)が進んでいるそう。
ネット販売の拡大の影響を受けて、店舗閉鎖が相次いでいるのは全世界的兆候。店舗数やスペースの減少が進んでいます。

今年のアメリカ小売業のキーワードは「ディスラプト、デジタル、シームレス、オンディマンド、オムニチャネル、ミレニアル世代、顧客体験、パーソナル化」とのこと。
知らない単語もちらほら見られます。

ネット販売の上位はアマゾン、千趣会、ヨドバシカメラ。
顧客満足度ではヨドバシ、通販生活、Joshin webという順位です。

世界の企業成長率ランキングのベスト10には、中国の企業が多く登場し、日本はMonotaROが9位に入っているのみ。
この辺りの物流問題(ボトルネック)が日本の今後の問題点だそうです。

ネット通販の増加に従って顕在化しているのが、深刻なドライバー不足。
今の若者は、ドライバーになりたがらず、高齢化、減少化しているそうです。
日本では送料無料・再配達が当たり前のサービスとなっていますが、こうしたコストのかかる点が、ゆくゆくは通販企業の首を絞めることになるかもしれないということです。

アメリカでは、品物配送料がかかる上に再配達のサービスはありません。留守の場合には配送者は家の前に荷物を置いて行きます。
また、ドライバーになる移民がいるためにこの点は問題化されませんが、嫌な仕事をやる人が不在の日本では大きな問題となりつつあるとのことです。

通販の成功要因は、高い価値を顧客に提供すること。
そのために、レビューサイトが大きなポイントとなっているようです。

アメリカ、EU諸国の状況の次に、中国の市場概説が行われました。
アリババの急成長が目立つ中国。その分、百貨店の閉鎖は続いているようですが、アリババグループの「天猫(Tモール)国際」が国内の圧倒的シェアを背景に、グローバル化を進めているそうです。
中国人は自国ブランドを買わないため、ネットでの海外有力ブランド取扱いに乗り出し始めたとのこと。
日本企業も次々に出店を始めているそう。
これからは商品のグローバル化も広がって行き、自社製品のみで行っている会社の限界が見えてきているとのこと。

中国はクオリティが悪いというイメージがありますが、悪い店舗は淘汰されて、顧客への対応や配送スピードなど、しっかりとしているそう。
中国政府がバックアップをしているため、勢いもあるそうです。

日本政府はこうしたネット市場へのバックアップはあまりなく、中国とは対照的だとのこと。
どちらもよしあしで、日本は国のテコ入れがない分、クリーンだけれど時間がかかるとのことです。
日本側企業はまだ戦略不足で体制が不十分といった印象だとのこと。
ビジネスの成功は現地化であり、日本は中国に対しての上から目線を変えない限りはうまくいかないとの意見でした。

このほか、現状についての様々なレポートを教えてもらい、どれもためになりましたが、私の頭がどこまで消化できているのかがはなはだ不安なところ。
とはいえネット通販の利用者として、今後の市場動向は気になる点ですし、世界的な流れがつかめたことは、大まかな理解に繋がりました。
アリババの天猫(Tモール)国際、これからどんどん日本の市場に入ってくるんでしょうね。

2016年06月21日

フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展

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2016/6/11
DNP ミュージアムラボ

地球儀や天球儀が好きで、家には大航海時代のアンティークの地球儀を置いています。
フェルメールの『天文学者』『地理学者』に描かれた「ホンディウスの地球儀・天球儀」が展示されると聞いて、実物を見てみようと行ってみることにしました。

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事前予約制のため、申し込んだ時にはすでに前期の予約はいっぱいで、お目当てのものは入れ替えとなって見られませんでしたが、その代わりに後期限定の、16世紀の銅に彫刻を施した「ヴェルザーの地球儀」が展示されており、十分に見ごたえのある展示内容となっています。

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フランス国立図書館が所蔵する11世紀〜19世紀に製作された地球儀・天球儀の中から55個が選定されたこの展覧会。それにDNP大日本印刷が3Dデジタル化を施し、リアリティあふれる展示となっています。

まずは本物の地球儀・天球儀の鑑賞。日本でいう戦国時代以前に、よくもこんなに精密な土地情報を得ていたものだと驚くばかりです。
それでも、極東日本の情報はなかなか得られなかったようで、そもそも載っていなかったり、アメリカと一緒になっていたり。日本と思われる島を探すのもまた一興。

パンフレットを指定の場所に置いたら、その内容を映像化して説明してくれるという画期的な技術も紹介されました。
中でも一番驚いたのは、18世紀の天球儀の中に入って、ヴァーチャル空間を楽しめるもの。足元から天空まで、どこを見回しても切れ目なく360度星座を観察できるという初めての体験ができました。

フランス国会図書館の保有する歴史的な文化遺産と、DNPの展開する先進的な技術を存分に堪能できた会。
予約制のために大勢の観覧者でごったがえすこともなく、一つ一つの展示品をじっくりと鑑賞できます。
地球儀や歴史、地理、そしてテクノロジーに興味のある方にお勧めです。

・フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展
 (後期は 9月4日(日)まで)

2016年06月20日

「火星探査計画〜火星に生命はいるのか?」

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五反田プラネタリウム 2016/6/11


初めて訪れた五反田プラネタリウム。
川崎・生田緑地のプラネタリウムになじんでいるため、ここのプラネタリウムは小さく感じました。
投影機も、川崎の誇るFusion2の方が高感度で質が高く、見え方がずいぶん違います。
でもその分、川崎の半分の入館料なのが魅力的。
川崎よりも座席のリクライニングがきいていて、ペア席(もしくは太っちょ用シート)もあります。
解説員の語りがあるのがうれしい点。
それほど混んでいなくて、のびのびと鑑賞できました。

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まずは星空解説。
天の川には2000億の星があるのだそう。
乙女座のスピカとは「とがったもの、麦の穂先」という意味。
乙女座が両手に持っているものは麦(収穫の女神デーメテール)と羽(正義の女神アストライヤル)で、二人の女神が一緒になっていると教えてもらいました。
正義の女神が天秤に羽を乗せて測るため、すぐそばに天秤座があるそうです。 

日本の星の名前はきれいですね。牛飼い座のアークトゥルスは「さみだれ星」と呼ばれたそうです。
天秤座の隣にあるさそり座は、そのしっぽが特徴的で、日本では「釣り針星」と言われるそうです。
さそりに殺されたオリオンは、さそり座が怖くて逃げているのだそう。
そのさそり座のそばにいるのはへびつかい座。 

夏の大三角は、こと座のベガ ・ わし座のアルタイル ・ はくちょう座のデネブです。
夏の夫婦星は、こと座のベガ(織姫星)とわし座のアルタイル(彦星)。
はくちょう座は北十字と言われます。

牛飼い座は、大くま座を見張っているようで、よそ見をしています。
その代わりに、りょうけん座に見張らせています。
ストーリーが繋がるようで繋がらないような、ささやかなところがまた面白い星座の配列です。

それから5・6月のテーマ「火星」の話。
5月31日に地球と火星は7528万kmまで接近しました。
火星には探査機がたくさん打ち上げられており、その数は全部で30機近くになるとのこと。確かに多いです。

かつては水があったとも言われている火星。
2020年には人類が暮らせるように計画されているようです。

今年は、火星の近くにさそり座アンタレスが見えます。
アンタレスとは赤い色が似ていることから「火星の敵」という意味。
ライバル同士が近づく、赤さの競演が楽しめる年だそうです。

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プラネタリウムの外には、かつての投影機が展示されていました。
こういうのを見ると熱くなります。
上の型はよく見るものですが、下はなんだか珍しいバルーン型。
どんなふうに星空を映し出していたのか、観てみたくなりました。

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2016年06月11日

フランスの風景 樹をめぐる物語

東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、6月9日

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シャルル=フランソワ・ドービニー『ヴァルモンドワの下草』(1872)


風景画ってきれいで、心が落ち着きますね。
印象派が好きな日本人は、比較的風景画も好きなのではないかと思います。
今回は、あるようでなかった、樹木をモティーフにした展覧会です。

もともと絵画は、歴史画の格が高く、風景は背景として添え物程度に描かれる程度でしたが、イギリスからコンスタブルなどによる風景画が取り込まれ、また産業の復興による都市の人口増加から、郊外への憧れが生まれるようになったのが、フランス風景画の流れのきっかけとされています。

第1章:戸外制作の画家たち

この時期の作品タイトルには、フォンテーヌブローとバルビゾンが時々見られます。
フォンテーヌブローの森の中にあるのが、画家たちが集まったバルビゾン村になります。

さりげなく、ジョルジュ・サンドの小品『池のある風景、樹木と山』が飾られていました。繊細な自然画でした。
ある作品のタイトルの中にあった「自然にならって(d'apres nature)」という言葉が、その後の仏近代絵画のテーマになっていったそうです。

コローは夏に屋外でスケッチし、冬にはそれを屋内で制作したとのこと。
理想的な生活ですね。

作品に描かれる樹木では、断然「樫」の木が多かったです。
フランスに多い木なのか、絵になるからなのかはわかりません。

アレクサンドル・ルネ・ヴェロンはピクチャレスクな構図を好んだ画家だそうで、展示品『ロワン川のヌムール橋』も確かに絵になる作品でした。

第2章:印象派の画家たちと同時代の風景画

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クロード・モネ『ヴェトゥイユの河岸からの眺め、ラヴァクール(夕暮れの効果)』(1880頃)


大きな油絵。この作品を手掛けた頃の彼は、妻カミーユが若くして亡くなり、パトロンが破産し、その妻子を彼が養っていたというとても大変な時期を過ごしていたそうです。
でも、そんなハードモードの人生を悟らせることのない、力強く生き生きとした作品に、彼の強さを見ました。

カミーユ・ピサロは有名な画家ですが、他に何人もピサロの名の画家の作品が展示されていました。
全て、彼の息子によるもの。リュシアンは長男、フェリックスは三男、そしてリュドヴィク=ロドは四男だそうです。
二男はわかりませんが、息子たちは父親のように、次々と画家になっていったんですね。しかしフェリックスは23歳の若さで亡くなったそうで、残された作品は貴重なものとなっています。

第3章:ポスト印象主義と20世紀前衛芸術への試み

これまでは、風景画イコール外に向かうもの、という認識だったものが、内に向かう対象として描かれるようになった頃。
象徴派やフォーヴィスムの作品が集められています。

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ケル=グザヴィエ・ルーセル『青い服の女性、サン=トロペ』(1905‐1910)

神話色のない今回の展覧会の中で、小品ながらも目立つ、ギリシア神話を思わせる一枚でした。

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フェリックス・ヴァロットン『オンフルールの眺め、朝』(1912)

ナビ派の画家である彼の作品展を昨年観に行ったものです。不自然なかたちの樹木が不安定さと不思議さを醸し出していました。

ほぼすべての作品に解説がついており、理解に役立ちました。
全体的に、他の展覧会よりも、地名のついたタイトルの作品が多いことに気がつきます
風景画だから、どうしてもそうなるのでしょう。

風景画は、やはり見ていて心落ち着くもの。
終わってみて、今回のテーマを思い起こすと、確かに樹木の絵ばかりでしたが、全く見飽きることもなく、ナチュラルに鑑賞することができました。

展覧会「フランスの風景 樹をめぐる物語」は、6月26日(日)まで公開中です。

posted by リカ at 21:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 【finearts】西洋画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする