
熊川哲也の輝かしい経歴とその実力の程は知っているけれど、特にファンではなく、むしろナルシストっぽい雰囲気と、キャーキャーいう女性たちに引き気味だった私。
そうはいってもバレエの世界がどのように展示されているのか、興味があった。
会場は、さすがにほぼ全員が女性。たまに男性がいるなと思うと、胸バッジがついているため、職員の人だとわかる。
彼個人の展覧会だったらどうしようかと思っていたけれど、今回は彼の率いるバレエ団全体としての展覧会だったので、観やすかった。といっても、全てが彼の表現下のものとなっているので、結局彼のアートの世界を見ていることになる。
彼の手がけたグランドバレエ6作、『眠れる森の美女』『白鳥の湖』『くるみ割り人形』『ドン・キホーテ』『ジゼル』『コッペリア』で用いられた現物衣装が展示されていた。実際に目の当たりにすると、それがどれほど手が込んでいて、本格的(というか正に本格!)なものかがよくわかる。彼自身がデザインした衣装などもあり、舞台の細部に至るまでの心配りに、妥協を許さないといったポリシーが衣装一枚からも見て取れる。
各作品ごとに、モニターが置かれてあり、作品概要と彼のこだわりがDVDで流されている。一つ一つ観ていくたびに、華麗でファンタジックなバレエの世界に引き込まれていった。
衣装は、主役クラスの人たちのものがやはりきれいだけれど、実際に感嘆したのは、悪役の方だった。例えば『白鳥の湖』ではロットバルト、『眠りの森の美女』ではカラバス。個性的なキャラクターこそ、デザイナーの表現の腕が光るものになるからだと思う。
あとは『くるみ割り人形』のネズミがかわいらしかった。着ぐるみのようにすっぽりと入り込む。あれで踊れるんだろうか、と気になる。話の上では敵役なのに、とても親近感が持てる。『くるみ割り人形』といえばシーズンはクリスマスだけれど、無性に舞台を観たくなった。
とてもすてきな空間だったけれど、6作品のブースが過ぎたら、もう出口になっており、豪奢だったけれど、展示会としてはあっけなさを感じる。クマテツのファンにはたまらない企画だろうけれど、特にファンではなく、むしろバレエについて、詳しく紹介して欲しいと思ってきた私には、物足りない気持ちが残った。
それでも、普段は観る機会のないコスチュームを眺められたことで、バレエへの印象が少し身近なものになった。久しぶりに観にいきたくなったなあ。
クマテツの舞台はロイヤル時代と某バレエ団の舞台で観た記憶が。。。
某バレエ団の舞台では、彼の登場と同時に会場の空気が変わったことが印象深かったたですね。
それまでの流れを全部持っていってしまって、相手の女性がかわいそうでしたぁ。
クマテツ、とても人気で、いい席はすぐに埋まってしまうと聞きました。実際に観たことがあるなんて、うらやましいな!しかもロイヤル所属時になんて、豪華だったでしょうね~(ため息)。
評判どおりに、才能にあふれたダンサーなんですね。いま、とってもバレエの舞台を観たい病になっていまーす。