2011年05月22日

『開館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」I 夢に挑む コレクションの軌跡』

e0280549b562cd02c7d94b8223ed242c.jpgサントリー美術館

Blog『弐代目・青い日記帳』の管理人、Takさんにご招待していただいた今回の展覧会。
サントリー美術館は、以前赤坂見附にあった時に、母と行ったことがあります。

1961年に丸の内に開館し、'75年に赤坂見附に移転、そして2007年に、六本木ミッドタウンへ移転してきたサントリー美術館。
これほど流転を重ねる美術館も珍しいと思いますが、常にビルの中にあり、テナントであり続けているため、所蔵品の数に応じて移転できるという柔軟さがあるのでしょう。

今年は50周年となるため、それを記念したコレクション展が今回のテーマ。
ミッドタウンさえ慣れていないため、入口までたどり着くまでに一苦労でしたが、シックな板張りの床と高い天井に落ち着きます。
館内は薄暗く、展示物の辺りに照明が当てられていました。
会場に入った途端に、どこかすえたようなにおいがしましたが、それはコレクションの古さゆえでしょうか。秀吉の甥の朱よろいが飾られており、じっくり見ました。
鎧は、確かに美術品です。細部にわたり計算された、機能美と傾奇ぶりを伝えるもので、飽かず眺めました。

はじめに、設立当時に収集した作が展示され、織部の作品や蒔絵の盥などを眺めました。
全く詳しくない私にも、一つ一つの展示品のクオリティの高さははっきりとわかります。静かな中に迫力を感じました。

一つ一つの作品に、解説が載っているのも親切です。
伝・俵屋宗達の伊勢物語第27話の「水鏡」は、あらすじが紹介されていたため、その光景が描かれた図色紙が手に取るようによくわかりました。
「御所車桜蒔絵堤重」のところでは、英語で堤重をpicnic boxと書かれてあり、理解しやすくなりました。
携帯可の重箱のことを堤重と言ったとのことです。

切子のコーナーでは、とても照明が自然かつ効果的に使われていました。
薩摩切子は、第10代薩摩藩主島津斉興が初め、11代藩主斉彬も保護したとのこと。
カットがさまざまで、目を奪われます。
持つと手が切れそうなほど、深くカットされたものもありました。
江戸切子もあり、比べてみると江戸の方がカットが単一だとわかります。
しかしそれが手抜きではなく、とてもスッキリとモダン・シンプルに見え、江戸の粋を体現しているようでした。

910867629b46a6b1c49666ea6f6ae7f3.jpgどのコレクションも、品がいいものばかり。見ていて飽きません。
日本の工芸品がメインだと思っていたため、ガレのコーナーがあったのには驚きました。
栓付き瓶「葡萄」には、ボードレールの詩集『悪の華』にある「ものいう硝子」の一節が刻み込まれていました。
こういうスタイルの作品もあるんですね。
ひと晩だけ傘を開き、翌朝には溶けてしぼんでしまうという「ひとよ茸」(1902年頃)の大きなランプが印象的でした。
ガレは、生涯に6つ、このひとよ茸のランプを制作したそうです。(現存するのは世界に3つのみ)
羽化した後、数時間で命尽きてしまうという「かげろう」の花器もありました。
そうしたはかない自然の命に目を向け、自分の作品に留めようとしたのでしょう。

閉館近かったため、混んでいましたが、最後の「新収蔵品初公開」コーナーに、一番観客がひしめいていました。
屏風がScreenと訳されており、確かにそうだとは思いつつも、17世紀の古めかしい折り畳み式のものをスクリーンだと考えるには、なんだか抵抗感がありました。
スクリーンの意味するものへの認識を広めなくてはなりません。

最後の作品として圧巻だったのが伊年印の「四季草花図屏風」。金箔を貼った背景に、さまざまな草花が描かれており、豪華絢爛な花図鑑となっていました。
写実的でありながらも夢のように美しい作品でした。
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どの階も天井が高く、今回は特に縦に大きな所蔵品はなかったものの、やはり美術品を鑑賞するにあたって、空間の効果は大きいものだと思いました。
閉塞感なく、作品と集中して向き合えた気がします。

高校生の頃にこの美術館を訪れたことがあります。
それまで西洋絵画展をメインに観ていたため、和の陶器や漆器のみの展示にすっかり飽きてしまい、「わざわざ東京までやってきたのに、ちっともおもしろくなかった」と印象も悪かったのですが、今回は展示品の一つ一つに興味を持って観賞できたため、(あれから自分もそれなりに成長したんだなあ)と思いました。
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「夢に挑む コレクションの軌跡」
Excerpt: サントリー美術館で開催中の 開館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」I「夢に挑む コレクションの軌跡―新収蔵品初公開と名品勢揃い」展に行って来ました。 数ある企業美術館の中でも優等生..
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