2011年06月17日

「花の画家 ルドゥーテ『美花選』展」

2ed09bfed7a6f2a05bdf3fcdf47f5bae.jpgBunkamuraザ・ミュージアム

『美花選』の麗しき世界
1:早春の可憐な花々
2:初夏の庭ーバラの花園
3:ヨーロッパの花々ーアルプスから地中海まで
4:美しき実りー果物の肖像
5:庭の新しい仲間たちー遠方からの導入種
6:東洋の憧れ
7:エキゾチックな植物
8:ブーケの魅力

ポスターの上品な美しさに、気になっていた展覧会。
美しい花の絵は、心が癒されますね。
会場内はほとんどが女性でした。
ピエール=ジョセフ・ルドゥーテ(1759〜1840)は知らない画家でしたが、ザ・ミュージアムでの彼の作品展は今回で3回目だとのことです。
花のラファエロと言ってもいいくらい、美しく精緻な作品を手掛けています。
また、美しさだけでなく、正確な描写も徹底されており、まさに植物学者的画家と呼ぶのが正しいように思いました。

作品は、点刻の銅版画に手彩色を加えたもの。
写真のような写実性には感嘆することしきりです。
花と茎と根の全身像が描かれているため、根を丁寧に洗った姿を読者は知ることになります。
葉の角度やひねり具合などもリアル。ズームにも耐えうるような細かさです。
温かみのある色合いで、カラーのものもどぎつくありません。
一番美しい時の植物を描いているため、花が語りかけてくるよう。
観ていると、爽やかな気持ちになります。

会場のところどころで、パフューマリー・ケミスト、蓬田勝之氏によるバラの香りがほのかに漂って、貴族の館を訪れたような気持ちになりました。
絵画に描かれた、カリグラフィ文字の華奢な美しさにも心惹かれます。

『ユリ科植物図譜』は、14年かけて作成し、自費出版したものとのこと。
こんなに才能あふれた人でも、自費出版をしていることに驚きました。
これがナポレオンの目にとまり、重用されることになります。

『バラ図譜』は、ナポレオンの皇后ジョゼフィーヌに捧げた本だとのこと。
彼が39歳の時、彼女が庇護者となり、45歳のとき彼女の公式画家となるという出世を遂げます。
そして、ベルギーから勲章を授与され、騎士の称号を受けるに至ります。

『美花選』は67歳の時の作品だとのこと。「Choix des plus belles fleurs(最も美しい花々)」という言葉から。
一人きりでこのように細かい描写絵を膨大な数仕上げるなんて、非常に根気が要る作業だと思います。
視力も変わってきていることと思いますが、正確な絵に、そういった画家の年齢の変化は全く現れていません。

ジャン=ジャック・ルソーが植物学者でもあり、本を出していたことも知りました。
ルドゥーテが挿絵を担当していました。

会場のソファは、普段の展覧会とは違ってサテン地でくるまれており、目にお上品で柔らかい印象。
会場の雰囲気づくりをしたキュレイター?の心配りを感じます。

20110601_2119038.jpg中でもバラのコーナーには、美しい絵ばかりが飾られていました。
『バラ図譜』は扉絵がギリシア語のようで、さっぱり読めません。風雅な印象を受けました。
どれも、ジョゼフィーヌのマルメゾン庭園でデッサンされたバラだそうです。
バラは、キャベッジ・ローズがあるかと思えば、レタス・ローズもありました。
花がたくさんついているものはノワゼット・ローズ。
ナニワイバラというものもありました。
(画像はルドゥーテ『美花選』より《バラ、アネモネ、テッセン》)

バラのコーナーには、ビーズ刺繍デザイナーの田中啓二氏によるバラがモチーフのふんわりとしたドレスが3着展示され、ダマスクス・モダン・ローズの香りも漂っており、とても幸せな気持ちになりました。
「トットちゃん」というバラもあるとはびっくり。ピンクのかわいらしいバラでした。

日本から輸入したという椿の絵もありました。
また、アジサイも東洋からの輸入もの。よくフランスの本を読んでいると、アジサイの花の記述が出てきますが、もともとはオリエンタルなものだったんですね。

ヘメロカリス・ヤポニカはギボウシのこと。
ビオラは小さいパンジーのこと。
オランダシャクヤクは、かつてはオスとメスを分けていたそうです。理由はわかりませんでしたが、気になりました。

果物の絵も展示されていました。こちらもきれいでしたが、植物よりは、少しデッサンがずれているように感じられるものもありました。

植物学者ヴァントゥナが、ルドゥーテに敬意を表して「キエンフェゴシア・ヘテロフィラ」という花を捧げたそうですが、その花の美しさはいまいちで、捧げられた本人も嬉しさがいまいちだったとのこと。もっと華やかな花の方がよかったのでしょう。

また、特別出品として『バンクス花譜集』の掲載作品がありました。
これは、クック船長の探検船に乗り、30000種もの標本を採集して仕上げた図集だとのこと。
クック船長の探検船には、いろいろなジャンルの研究者が航海に同乗したのだと改めて感じました。
ヨーロッパでは見られることのない、南洋の野性的な植物が描かれていました。

最後のデザイナー吉谷博光氏による空間演出の部屋では、幾何学的格子柄のモダンな部屋に、選りすぐりの美しい花々の絵が飾られていて、とてもフランス的だと思いました。
ベラム(子牛の皮)に描かれた水彩画も展示されており、心にしみいるような美しさでした。

出口のところには、美輪明宏氏の言葉が飾られており、花に関するさまざまな仕事の第一人者が協力して作り上げた展覧会なのだとわかりました。

ミュージアムショップには、さまざまなアーティストによるバラグッズがところせましと並べられており、美しく優雅な空間になっていてうっとりしました。
私は、青木むすび氏の作品が気になりました。
上から見るとバラ、横から見るとドクロに見える大きな指輪が印象的でした。
この展覧会が閉幕したら、半年ほどクローズ状態になるBunkamuraザ・ミュージアム。
寂しいですが、次はフェルメール展なので、再開が楽しみです。


posted by リカ at 16:25| Comment(0) | TrackBack(1) | 【finearts】西洋画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/210866095
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック

「ルドゥーテ『美花選』展」
Excerpt: Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の 「花の画家 ルドゥーテ『美花選』展」に行って来ました。 これまでBunkamuraでは、2003年に「バラの宮廷画家 ルドゥーテ展」、2..
Weblog: 弐代目・青い日記帳 
Tracked: 2011-06-24 00:13