2012年05月19日

はじめてのバレエ 〜音楽編〜

newimage_chacott0519.jpgat チャコット 渋谷本店
by 福田 一雄(Kバレエ シアターオーケストラトーキョー音楽監督)

チャコットとシブヤ大学とのコラボレーションによる、全4回のワークショップ、第1回目。
熊川哲也率いるKバレエカンパニーの全公演の演奏を務めている、作曲家・指揮者の福田一雄氏に、バレエの名シーンをDVDで観賞しながら、バレエ音楽について語っていただきました。
チャコットの本店に入るのは、これが初めて。バレエの園となっており、非日常感いっぱいでドキドキします。
参加者は40名ほど。プレスも数社、取材に訪れています。
今回採り上げたのはアドルフ・アダン作曲の『海賊』。
バレエ音楽が好きな私ですが、この作品はまったく知りません。
バイロンの長編物語詩が原作となっているバレエがあるなんて、驚きました。

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福田氏が演奏を聞いて書きあげたという『海賊』の総譜を見せてもらいました。
すごいです。こういう人の努力によって、日本のバレエ音楽は支えられてきたのでしょう。
専門的な人だけに、内容も結構専門的。基礎知識がない人には難しい内容だったようです。
今回、全くバレエを知らないという男性参加者もちらほらいるため、(初心者向けというよりはちょっと高度な感じだわ)と思いました。
それでも、自分の体験を織り交ぜながらの話となるため、少し脱線したエピソードなどはとてもおもしろかったです。

系譜的に、フランスバレエの水準が高いのは、フランスにはイタリアのようにいい声の人がいないため、オペラが興隆せず、代わりに踊り手の育成に力を入れたことから、オペラ座バレエなどが有名となり、ロシアはフランスバレエを導入したのだとのこと。
確かに、フランス人の有名なオペラ歌手って聞きませんね。
同じラテン系の国でも、向き不向きがあるということなんでしょうか。

タリオーニが「悪魔のお化け」という役を作った時、お化けだからフラフラさせるため、爪先立ちにし、それがバレエの型となったんだとか。
歴史まで教わりました。
「海賊」を作ったのはアダンですが、その後踊り手の都合などで、役を増やしたり見せ場を増やしたりすることになり、アダンの弟子のドリーブやミンクスが曲を作るなど、さまざまな人による曲の集合体となっているそうです。
作曲家のバージョンによって、ラストシーンの舞台も違っており、バレエ団によってどちらを採るかまちまちなんだとか。

「グラン・パ・ド・ドゥ」のシーンを、Kバレエカンパニーの公演DVDを観ながら、解説してもらいました。
熊川哲也はアリ役。やはり詳しい人に情景や内情を教えてもらいながら観ると、すいすい頭に入って、おもしろい!
もともと、ヒーロー役のコンラッドを長年踊りつづけた人が、体力の衰えでリフト以外は出来なくなったため、ヒロインとの見せ場は、アリという青年役を登場させて果たしたとのこと。
つまり、アリは代役というか影武者のような存在なんですね。
そういったことを全く知らずに舞台を見ると、3名が踊っているわけですから、ヒロインをとりあう三角関係のように見えますが、実際は違うということを知りました。
コンラッドは、本当にヒロインを抱え上げることしかしなかったため、笑ってしまいました。

オーケストラは、踊りに速度を合わせるため、指揮者は普段の演奏以上に感覚を研ぎ澄ませておかなくてはなりません。
踊り手の脚の長さでテンポが変わったり、その日の調子の良さでも、キレが変わるため、細かく合わせていくことが必要とされるそうです。
まさに職人芸です。

レクチャーが終わり、Q&Aのコーナーになったため、「指揮者はオケピからステージを目で見るのか、モニターを通してなのか?」と質問してみました。
会場によってまちまちだそうです。
海外だと、背が低いとステージのはしまで見えず、死角ができるため、大変なんだとのこと。
指揮台を高くすると、今度はオーケストラから遠くなるため、微妙な調整が必要になるそうです。

また、モニターはデジタルだと少しずれるため、とても問題なんだとか。
やっぱりオケピからは、全てが見通せるわけではないんですね。
そして、デジタル式の問題は演奏者にとっては深刻。
そんな苦労を全く見せずに、完璧に合わせて見せてくれるライブだからこそ、ピタッと踊りと音楽が合うと、総毛立つほど感動するわけでしょう。

踊りが下手な人ほど楽屋に来て、指揮者にあれこれと注文をつけるのだとか。
熊川氏も森下洋子氏も、大物は、そういったことは一切しないんだそうです。
また、舞台に立った感じで、踊り手の調子のよさがわかるんだとか。
信頼感があるからこそ、その人の放つオーラが読みとれるのでしょう。

バレエ指揮者の重鎮の方でありながら、とてもお茶目な人柄が見える明るいレクチャーで、引き込まれるように聴講しました。
「海賊」、気になります。いつか観に行ければいいなと思います。

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ところで、チャコットという名前が(可愛いな、何語かな)と気になっていたら、創業者の土屋誠(ツチヤマコト)の「マ」を抜かしたものなんだそう。
ジュンク堂みたいな感じだったなんて、意外ー。

posted by リカ at 12:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 【dance】バレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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