2012年11月13日

旅の贈りもの 明日へ

134400675173013219136.JPG監督:前田哲
出演:前川清、酒井和歌子、山田優
新宿武蔵野館

定年退職を迎えた大阪の男性、仁科が、高校時に絵手紙文通をしていた福井の少女、美月をしのんで、彼女が描いた風景を探す旅に出ます。
同じ時に、結婚を間近に控えた女性、結花が、悩みと向き合うために福井に一人旅に出かけます。
さらに、スランプに陥ったバイオリン奏者が、福井へと向かいます。

この3名の旅人が、福井の名所を訪れながら、自分と向き合い、癒されていく物語。
先週訪れたばかりの福井駅改札を懐かしく眺めます。自動改札ではなく、めずらしく思えました。
大阪と福井を結ぶ電車として、特急「雷鳥」が何度も登場します。
この映画のための特別運転だそうです。

高校時に一度会ったきりの少女との思い出を辿りながら、仁科が辿る福井の町並み。
一枚一枚、絵ハガキの書かれた場所を追っていきますが、最後の桜の木はどうしてもみつけられません。

結花は、一乗谷を訪れます。
さりげなくソフトバンクのお兄さんとお父さん犬が登場していて、笑えました。

駅の待合室で顔を合わせた仁科と結花。その後、あわら温泉の旅館でも再会します。
どちらも一人旅。温泉旅館には一人部屋もあるものなんですね。

結花はたまたま知り合った女性と、ガサ海老丼を食べます。福井特産のガサ海老は初めて聞きますが、甘くておいしそう。
悩みの答えを求めながらも、彼女は旅を満喫していきます。

仁科は、三国神社のお祭りの中で知り合った女性に、一本咲きの桜の木の所に連れて行ってもらいます。
そこで初めて、彼女が探していた三月だと知るのです。
この桜の木の由来が明らかになった時には、時を越えた深い愛情を知り、大きな感動に包まれて涙が出ました。
でも、どう考えても40年ちょっとで苗木があんな大木に成長するとは思えませんが、まあ美月も「奇跡だわ」と言っていましたからね…。

かつて丸岡城で出会った二人は、今度は三国神社で再会しました。
風に揺れる桜の美しさが印象的です。足羽川の桜並木も写されました。

25年ぶりに知らずにすれ違う父と娘。
そして42年ぶりに再会するかつての少年少女。
まさにセンチメンタル・ジャーニーです。
関係者がつながりすぎだな、と思いますし、結花がなぜ福井に一人旅をしたのか、その理由がわからないままでしたが、まあそれも現代のおとぎ話のよう。

誰もが親切で優しく、そして礼節をわきまえているため、気持ちよく見続けられます。

正直、バイオリン奏者の登場はつながりがよくわからず、ストーリーに必要ないのでは?とも思いましたが、悩める心を受け止める場所として福井が描かれているということでしょうか。
スランプという性質上、誰よりも切羽詰まって深刻な表情をしていた彼。
福井のサックス奏者(実は父親という設定だったりして?)に、「旅の途中なのか。それとも何かから逃げて来たのか?」「その中身は空っぽか。それとも魂か?」などと言われて、(きつい人だな)と思いましたが、そこがまたカッコよくもありました。

実際、サックス演奏はとても素晴らしかったです。
演じているのは、福井出身の日本有数のジャズ・サクソフォーン奏者、白井淳夫でした。
この人の演奏は生で聴いてみたいものです。
須磨和声のジャズバイオリンとのセッションも、見事に息が合っていました。

主演は前川清、娘役に山田優など、本職の俳優でない人たちがメインキャストでしたが、ナチュラルな無理のない演技で、全体的に爽やかな印象。

福井の旅を経て、人生の宿題をこなし、それぞれの町へと帰っていく3人。
前向きに終わった、心温まる映画でした。
posted by リカ at 15:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 【Cinema】日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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