2006年12月24日

クリスマス公演『くるみ割り人形』全幕

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松山バレエ団
主演:平元久美・鈴木正彦 
演奏:東京ニューフィルハーモニック管弦楽団 指揮:河合尚市
会場:ゆうぽうと簡易保険ホール(五反田) A席(1F8-37、\10000)

いままで、イブの夜には『クリスマス・キャロル』を読むのが恒例だったけれど、毎年この日に『くるみ割り人形』のバレエを観劇するという友人夫妻に憧れて、今年は私もこのバレエを鑑賞することにした。
クリスマスの夜の出来事なので、ちょうどステージと一緒の雰囲気を味わえる。

この松山バレエ団の『くるみ割り人形』は、子供の頃に母親に連れて行ってもらったことがある。
森下洋子さんがプリマドンナで、キラキラと輝く夢の世界に、とても夢中になった。
今回は、森下洋子・バレエ人生55周年を記念しての公演。今でも現役なんて、すごい。
しかも、この人と旦那様の清水哲太郎の踊る日は、即日完売したという。

ロビーには、夢見る瞳の少年や少女がいっぱい。
かつて、私もこんな風に観に来たんだろうと思う。
ホールに入ると、意外にも男性の姿が多くて、驚いた。半数近くが男性だった。
デートや、家族サービスといった感じ。

ラッキーにも、舞台から割と近い席だった。
作品の性質上か、今まで観てきたバレエ作品の中でも、一番といっていいくらい、舞台セットが凝っている。
今回の台本・構成・演出・振付は、清水哲太郎が手がけたとのこと。
冬のシーンなので、雪が降るシーンはどうするのだろうと気にしていたら、初めは照明で表現していたので、(何か降らせたら、踊りにくいものね)と思ったら、その後、実際に雪が降ってきたので、驚いた。
でも、ダンサーたちは、全く問題ない様子で、軽やかに踊っていた。

久しぶりに観るくるみ割り人形。
ストーリーも、わかっているようで、かなり曖昧になっていたことに気づく。
そもそも、キーパーソンとなるドロッセルマイヤーおじさん、この人は何者だったかしら?
ちらしを見ると「判事」と書いてあるけれど、どうもピンとこない。
子供の頃読んだ物語では、そんな難しい職業ではなかったと思うけれど。

後で調べてみたら、この物語には諸説あるらしい。
私が思い出したのは「彼は人形の国では王子の家来で、のろいにかけられた王子を助けるために、心の美しい人を探しに人間の世界にやってきた」という設定だった。

やっぱりバレエっていいなあ、と思う。一つ一つの仕草がとても優しげで、美しい。
オーケストラにぴったりと合っているのも鑑賞していて気持ちがいい。
ミュージカルや演劇にはない、この優美さ。私はやっぱりバレエ派だわ。

すっかり夢見心地になっていたところに、醜いネズミたちが大勢登場して、クララと一緒にびっくりした。
うわ、こんなに憎憎しげだったなんて。さすが敵役。
ネズミの王様の頭の大きさにビックリ。あんな大きな張り子をかぶっていたのでは、踊れないのでは?と心配したとおり、彼は全く踊らなかった。
インパクトキャラクターとしての役柄になっているよう。

(そうそう、くるみ割り人形とネズミの王様が戦って、くるみ割り人形が負けそうになって、クララがスリッパでネズミを叩いて負かすんだったわ)と展開を見守っていたら、そうはならなかった。あらら?
今回の脚本では、クララは戦わず、か弱く守られるだけの存在になっていた。

第1部が終了し、休憩となる。
お化粧室の前では、女性ではなく男性が延々と長い列を作っていて、驚いた。
初めて見る光景だった。やっぱり男性率が高かったためだろうと思う。

私は「スリッパ叩き」がなかったことに、首をひねっていたけれど、連れはここまでの舞台に満足している様子。
今回の連れは、ミュージカルファンながら、セリフを喋らないバレエに苦手意識を持って、今まで観たことがないという人なので、どうかなと気になっていたけれど、抵抗なく楽しめた様子。
「バレリーナはみんな、『白鳥の湖』のようにチュチュを着て踊るのかと思っていたけれど、そうでもないから、思ったよりも構えずに済んでいる」とのこと。
あのチュチュに苦手意識を感じる人もいるんだわ。

『白鳥の湖』は美しいながらも悲しいストーリーだけれど、『くるみ割り人形』は華やかでキラキラしているので、初めて観る人にもお勧めだと思う。
音楽がチャイコフスキーで、有名なメロディも多いので、耳になじんでいるし、親しみやすいんじゃないかしら。
第2部は、いろいろな踊りが出てくるので、第1部よりも楽しみ。

周りの子供達も、「この曲知ってるよ」などと、ひそひそ喋りながらも引き込まれている。
私も連れも、もちろん夢中。
いろいろな衣装の人たちが百花繚乱という感じで登場して、瞬きする暇もないくらい。

そのうちに、ドロッセルマイヤーと並んで私のお気に入りの、ジゴーニュおばさんが登場してきた。
おばさん!久しぶり!!(もはや子供の頃に戻っている気分)
そしてティーポットのようなおばさんのドレスの中からは、数え切れないくらいたくさんの子供達が出てきて、軽やかに踊って見せてくれた。
かわいい!!でもその後ろで、エアロビ風に激しく両手を振って踊っているおばさんの方が、やっぱり気になった。

後で出演者を見てみたら、ジゴーニュおばさんは男性が演じていた。え~っ、びっくり。
確かに、子供が何十人も入る、テントのような巨大ドレスを引きずるわけだから、相当力がないと演じられないのかも…。

数々のきらびやかな踊りを観ているうちに、気がつけば物語も終わりに近づいていた。
寝入ったクララの前に現れるドロッセルマイヤー。別れがたい王子に向かって、非常にも「去ね!」という様子で追い払う。
ああ、切ないわ。
王子よりもドロッセルマイヤーの方が強いなんて、どういう力関係なのかしら。

最後にドロッセルマイヤーがクララの肩にふわりとかけたのは、彼女が雪の女王からもらったケープ。
これはあの時の…ならば全ては、夢じゃなかったの?とクララと一緒に思いをはせる私達。

そんな余韻を残しての、終幕となった。
すっかり堪能。連れも私も客席全体も大満足。
何度もカーテンコールが行われ、最後に「Happiness For All People Everywhere」という看板が掲げられ、心浮き立つクリスマス・メドレーが演奏された。

縁の下の力持ちとして演奏に従事し、すごいなあと思っていた、オーケストラピットの人たちにも、拍手が注がれる。
ステージでたいたドライアイスが大量にピット内に流れていったりしたので、大変だなあと思った。
指揮者が呼ばれて、壇上に上がる。
踊りと音楽がちゃんと合っていたのは、ひとえにこの人の指揮があってこそ。
生演奏とバレエ、どちらも素晴らしく、感動も倍になった。

今年は華麗な、夢見るクリスマスイブの夜を迎えることができた。
posted by リカ at 00:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 【dance】バレエ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わ。リカさんも松山バレエ団の『くるみ割り人形』をご覧になっていたんですか!私もイブは同じバレエを鑑賞していました!すごい偶然ですね。
でも、リカさんご趣味を考えれば当然かも。会場で、もっと他のお客さんの顔を見回ればよかったな、と後悔しています。
清水演出の『くるみ割り~』は、既存の様々な『くるみ~』の解釈を織り交ぜていましたが、特に私が注目したのは、クララと王子の心の触れ合い、そして狂言回しとしてのドロッセルマイヤーです。
あたかも恋の味を知ってしまったような、切なげなふたりのラストと、現実世界と夢の世界を分かつ超越者としてのドロッセルマイヤー。私が今まで観て来た『くるみ~』の中でも、一番筋がはっきりして、しかもちょっぴり大人向けだったような気がします。最後の最後で、ドロッセルマイヤーが、クララにケープを渡すところなんて・・・ただの「夢」でも「おとぎ話」でもない、二つの世界の不思議なバランスが表現できていたように思います。
私もリカさんに負けないように感想をアップしなきゃですね。^^;
Posted by Latour at 2007年01月08日 01:46
Latourさん、さっそくコメントを下さって、どうもありがとうございます。
なんと、同じ日に同じ演目を観ていたんですか?
それはすごい!
お互い(クリスマスにこのバレエを観たい)という同じ気持ちだったのかもしれませんね(^^)

今回の清水解釈では、ドロッセルマイヤーさんの存在がとても大きかったですね。主役もかすむほどの(^_^;)

はかない初恋が織り込まれたような主人公二人の最後のパ・ド・ドゥが、とても印象的でした。

Latourさんのこの日の感想を、楽しみに待っておりまーす♪
Posted by リカ at 2007年01月08日 03:18
あぁ。イブにくるみ割り人形を観たんですね(^^)
素敵なイブになったのかな。

くるみ割りはコミカルで音楽を含め大好きなバレエです。
初めてくるみ割りを観た時、こんな楽しいバレエがあるんだあと思いました。
バレエ団によって演出の違いはありますが、何度観ても好きですね。
因みに一番好きなのはローランプティの「コッペリア」です(^^;;
でも、この舞台は生で観たことありません。。

そうそう。自分もバレエを観るまでは「みんなチュチュ着て踊っている」と思い込んでいましたー。

森下洋子さんの舞台は10年位前に観た記憶が。。
バレリーナの友人曰く、特別な存在だそうです。
いつまでも元気で踊れるといいですよね(^-^)
Posted by ちゃぐま at 2007年01月13日 18:38
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