2015年02月23日

ダイアログ・イン・ザ・ダーク

IMG_8953.JPGふだん、暗闇といっても、どこかになにか、かすかな光はあるもの。
真っ暗といっても、自分の手を顔の前にかざすと、陰くらいは見えるもの。
なので、目を閉じた時と同じ完全な暗黒を日常の中で味わうことは、なかなかできません。
ここでは1時間半にわたって、純度100%の暗黒の中で過ごすことになります。

一緒に行動するメンバーは8名。連れ以外とは初めて会う人たちです。
はじめにさらっと目礼をして、顔も覚えられないまますぐに中に入ります。

アテンド役は、ヒヤマッチさん。
暗闇の中で、全員が自己紹介をしますが、声だけだと一度には覚えられません。

普通は、暗闇の中に入ると、次第に目が慣れて、辺りが見えるようになりますが、ここではいくら待っても、暗闇は暗闇のまま。自分の身体さえも見えないのです。

IMG_8952.jpg


まずは、行動の助けとなる白い杖を持ちます。
そう、これは視覚障碍者体験。
ガイドの声を頼りに、おっかなびっくり、そろそろと進みます。

みんなの歩みはそれぞれなので、誰かにぶつかることはしょっちゅう。
「誰ですか?」「●です」「私は■」と名乗り合って、少しずつ名前を憶えていきます。

足の感覚だけでは、歩いている地面がコンクリなのか、石なのかわかりません。
触れてみて、初めてそれが固い土だと分かります。

それから、なにかにぶつかります。
さわって見て、遊具のようなものだと分かります。
キーキー動く、それはシーソー。
乗ってみました。向こう側にも誰かが乗り、弾みをつけてギコギコ遊びます。
なんという感覚でしょう。闇の中で、誰ともわからない相手とシーソーをするなんて、夢の中にいるような、表現できない気分。

水の音が聴こえてきます。
笹の茂みの感触もあります。

IMG_8951.jpg


欄干のない丸太橋を渡りました。
前の人に手をひかれて、「ここを渡ります」と、丸太を触らせてもらいます。
橋がある場所と、その幅を知ったところで、自分の後ろの人にも同じように伝えてから、渡ります。
先が見えない橋。まるで不安な未来のよう。
でも、全員がワーワーキャーキャー言いながら必死に渡っていたので、必死でニギヤカで、不安な未来のイメージとはちょっと違いました。
そんな漠然とした悩みよりも、目の前の危険を回避しなければという気持ちの方が先だっていました。

無事に橋を渡り終えると、今度は突然部屋があり、そこにこたつがありました。
靴を脱ぎ、杖を置いて、みんなでこたつに入ります。
そこでカードゲームをしました。
もちろん、突起のあるカードですが、手探りでできるものですね〜。

部屋から出る時に「靴がない!」という声が上がったりしながら(無事発見)、再び歩き始めます。
途中で丸くなって円を作り、全員が向かいの2人と手を握り合って、その手を離さずに再び丸い円に戻すように動きます。

吊り橋も渡りました。ロープはありますが、揺れます。
ここでもみんなでキャーキャー。
前の人が状況を説明すると、後ろの人が構えられるので、みんなどんどん声を出して声掛けし合うようになっています。

また、初めは、少し身体が触れるだけでも謝り合っていましたが、助け合う方が行動の効率が良いため、いつしかそれぞれに手を差し伸べ合うようになっています。

それから、違う部屋に入りました。
そこは暗闇バー。
ここでドリンクをオーダーしました。
誕生日の連れに、メンバーの男性がチョコレートをプレゼントしてくれました。
ダイヤログからは、カードが贈られます。
点字が打ってありました。

ここでみんな、ワインや紅茶を頼み、バースデイソングを歌って乾杯します。
暗闇の中でのお誕生日祝い。声が頼りですが、チョコをみんなで回して食べたり、ドリンクを交換したりして、なかなか盛り上がりました。

バーのお会計時、10円玉と100円玉がわからずにあせりました。
そう考えると、5円や50円って、便利なんですね。

そうして1時間半が終了。
少し明るい場所へと戻ります。
そこでしばし目を慣らしますが、長らく暗闇の中にいたので、ぼんやりとして、みんなすぐには動けません。
それから、普通の世界へと戻ってきました。

IMG_8959.jpg


みんなの顔を改めて見ます。
暗闇の中で、あんなに声を掛け合って助け合ったのに、よく顔を知らないままだったので、ちょっと恥ずかしさがあります。

目は慣れても、体験が強烈で、すぐには復活できませんでした。

ずっとアテンドしてくれたヒヤマッチさんは、視覚障害者。
「今はアルコール度数がいろいろのお酒が出ているから、お店で選ぶ時に大変じゃないですか」と聞くと、「お店なら店員さんに聞けばいいんですが、家に帰って冷蔵庫に入れた後、わからなくなりますね〜」とのこと。
「あと、レトルトも箱が同じだから、カレーなのかパスタソースなのかわからなくって。だから、私の場合は、封を開けてから夕食のメニューが決まるんですよ」と教えてくれました。
なるほど〜。
大変だわ〜と思いましたが、「でもまあ、毎回ワクワク感がありますけどね」と。
前向きで素晴らしいです。
五体満足で恵まれている立場としては、この強さを、見習わなくてはいけません。

視覚障害者の中で、点字が読める人は、1割弱だとも知りました。
点字がなくても大丈夫、というよりは、まだまだ点字が世に広まっていないため、あってもなくても、という状況なのかもしれません。

日常、いかに視覚に頼っているかを実感しました。
また、見えない世界では、触覚や聴覚、味覚が、ぐんと研ぎ澄まされることに気が付きました。
あれこれと考えさせられる、気づきの多い体験でした。

posted by リカ at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 【play】その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/414544290
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック