2015年08月09日

第21回 記念特別展 秘蔵の名品 アートコレクション展~ 日本の美を極める ―近代絵画が彩る四季・花鳥・風情 ~

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ホテルオークラ東京 平安の間(本館1階)


毎年夏に開催される、チャリティーイベント。21回目になる今年のテーマは、「宴(うたげ)」。
「奏でる」「舞い踊る」「集う」と、3つのテーマに分かれた展示になっています。

まずは、創業者大倉喜七郎と二代目大倉喜八郎親子二人が電車の最後部に並んだ写真が展示されています。
ホテルオークラを支えた二人。
このホテルは、今月30日に本館の改築工事に入ります。
リニューアルは2019年。本館以外は9月以降も営業を続けますが、本館一大きなこの展覧会の会場の「平安の間」を見るのはこれが最後の機会となるため、少しセンチメンタルな気持ちになりながら、建物とともに名画を鑑賞しました。
第一章 〜奏でる〜

江戸時代から近代までの、音を奏でる様子を描いた作品。

○ 上村松園『舞支度』『鼓の音』大正3年
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第8回文展に出品された一枚の屏風絵を2つの作品として再び描いたもの。
松園はよくそのように制作するそうです。
ほぼ同じ図柄であるものの、こちらの舞う娘の方だけ、指輪をしているのだとか。
この作品が、今回の一番人気ということで、たしかに描かれた娘たちの若々しさと浮き立つような気持ちが伝わってくるようです。
松園の描く着物の柄は美しいなあと、改めて感じました。

第二章〜舞い踊る〜
近代絵画で舞い踊る人々を描いた作品。

○ 上村松園『男舞之図』昭和13年頃
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個人的に今回一番気に入った作品。男舞とは男性の舞いではなく、男装の女性が速いテンポで踊る舞のことを指すそうです。
凛々しさの中に、女性らしい美しさがにじみ出ており、これを描いたときに松園は63歳と聞いて、そのみずみずしい表現力に驚きました。

○ 『蘭陵王』『陵王面』
絵画と一緒に、舞のときにつけるお面が展示されていました。
王と言っても異形の化け物のようにも見えるのは、目が近く鼻が高く、細く白いヒゲを生やした、人とは違う顔のため。
これは龍を模したお面だそうです。
鳳凰を頭に乗せており、金地の豪華なものでした。
高村光雲の蘭陵王の彫刻もありました。

○ 竹内栖鳳『アレ夕立に』明治42年
ちらしに使われている作品。
これまでも割とよく出ている、ファンの多い作品。
顔が見えないことで、扇に隠された美しい顔が連想されます。

○ 宗達派『扇面流図』江戸時代
大倉集古館の所蔵品。水面に無数の扇が浮かぶ様子を描いた作品で「せんめんながし」と読みます。
改築中の4年間、集古館は別の場所に作品を委託しますが、その中から借りてきたものだそうです。

○ 東郷青児『村の祭り』昭和12年(画像右)
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隣に展示された彼の『コントラバスを弾く』(画像左)は、ブラックのようなシュールレアリスム調のものですが、それとは全くタッチが違う暖かさと柔らかさの感じられる作品。
山田耕筰との交流があった画家だそうで、まさに音楽と絵画の関係性が気になるところです。

純和風の作品のほかに、西洋絵画も展示されていました。

○ マティス『ジャズ』昭和22年
マティスが晩年取り組んだ「切り紙絵」の代表作。全20連作中の8作品。
美術の教科書で見たことがあります。
「色彩とリズムの即興」が表現されています。

第三章〜集う〜
江戸時代から近年までの、宴に集う人々の作品。

○ 下村観山『嵐山・加茂川』
幻想的な美しさでうっとりと見入りました。

○ 竹内栖鳳『蹴合』昭和4年(画像右)
先ほどの美人画『アレ夕立に』と同じ画家とは思えないほどの迫力あるタッチ。
闘鶏の緊張感が画面にみなぎっています。

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○ 石崎光瑤『藤花孔雀之図』昭和4年(画像左)
『蹴合』と共に、大倉喜七郎が支援した、ローマで開催された日本美術展覧会に出品された作品。
どちらもダイナミックな花鳥画。さらに竹内栖鳳の門下生だった石崎光瑤の孔雀図は、豪華な中に思い切った構図で、強い印象を残します。

○ 河鍋暁雲『百布袋之図』明治22年
実際には布袋の数は129、加えて唐子が54人。
同じ画家による『百福之図』(明治27年)は、お多福が148人描かれている。
どちらも、一体ごとに幸せいっぱいの布袋とお多福が描かれて、見ているとどんどん幸せになれるもの。
イラストっぽく、後の日本の漫画に通じるものがありそう。
共に、宮内庁の三の丸尚蔵館が所蔵しているというのがユニークです。

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○ 川合玉堂の『紅梅白梅』


本館改築工事中の来年も、このアートコレクション展は、変わらず開催される予定と聞いて、安心しました。
広々とした会場で開催される、「宴」というテーマの今回の展示会は、動きが見え、音楽も聴こえてくるような作品が多く揃っているため、華やいだ気持ちになります。
展覧会場を出た後は、見納めとなるホテル内のさまざまな建築アートも鑑賞して帰途につきました。

【開催日時】2015年8月3日(月)~8月20日(木) 9:30~18:30
posted by リカ at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 【finearts】日本画 | 更新情報をチェックする
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