2015年08月17日

浮世絵師 歌川国芳展

880d23b1402b2082d643db5cec0b86d5.jpgそごう美術館

江戸末期の浮世絵師、歌川国芳(1797−1861)。
彼の作品に興味をもったのは、なんと刺青からという、ハードボイルドなきっかけでした。
数年前に、刺青彫師・賽天氏のトークショーに行き、彼がよく絵柄のモチーフに採り上げているという国芳の作品をじっくり見たのです。
・「粋な江戸っ子浮世絵師・歌川国芳展」
 刺青彫師・賽天氏トーク
 (2011年11月19日)

あまりの迫力に、驚きました。
浮世絵って、実はこんなにロックなものなんだと、それまでのイメージを改めました。

私の中では、伊藤若冲と同レベルで、江戸時代を派手に華やかに彩った絵師。
今回の歌川国芳展を、とても楽しみにしていました。

展示作品が200点もあると知り、(これは見終わるまでにかなり時間がかかりそう)と、たっぷり時間を設けて向かいます。

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美術館の入口の自動ドアに、国芳の猫が描かれています。
こんな風に彩られているのを見たのは、初めて。
ワクワクしながら、国芳ワールドに足を踏み入れます。

中には、国芳作品がズラリ。すごーい。
以下のような9つのテーマになっていました。
   ・武者絵のはじまり・豪傑・合戦の図
   ・歴史物語と忠臣蔵など
   ・ヒーローの妖怪退治・怨霊・幽霊
   ・肉筆
   ・国芳と一門たち
   ・洒落とユーモア 擬人パロディ(猫・狐・狸など)
   ・ダンディ 役者と伊達男
   ・粋のファッション・鉄火肌の女たち
   ・洋風実験二十四考・洋風表現の風景画

国芳といえば武者絵。まずは『水滸伝』のシリーズ、『通俗水滸伝豪傑百八人』が迎えてくれます。
冒頭から濃い作品にノックアウト。『水滸伝』を錦絵にしたことで、彼のナは一躍有名になったそうです。
群像絵は、とにかく大勢の人物がびっしりと描きこまれます。一枚一枚見入っていると、かなりエネルギーを吸い取られていき、(この分だと全部見きれないかも)と思いました。

とにかくダイナミック。動いている瞬間を切り取ったかのようなヴィヴィッド感。
勇壮なねぶた絵との共通点を感じます。

観るものを引きこむ牽引力がありますが、惜しむらくは、作品の表す情景がわからないこと。
少しなりとも解説があれば、理解の助けになったのにと思います。

妖怪退治の絵もダイナミック。
身体中に彫り込まれた刺青を堂々と見せながら、化け物やライバルと戦う豪傑や英雄たち。
国芳の錦絵が引き金となって、当時刺青を入れる男性が増えたそうです。
もはや、ファッションリーダー的な役目も担っていたんですね。

彼の絵はどれも、細部に至るまで渾身の力で描かれています。
その絵力に圧倒されます。

中でも気に入ったのは『龍宮玉取姫之図』。
ここに描かれた動物たちが、みんな凛々しい表情をしていてイケメン。
波の描写も動的で素晴らしいものです。

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勇ましい作品だけではありません。様々なジャンルのものを出しているのが国芳の魅力。
化け物や妖怪のおどろおどろしさに怯えましたが、もともとこの人は動物好きなのでしょう。人間でないものもいきいきと描写しています。

動物を擬人化したものの、完成度の高さとかわいらしさにメロメロ。
猫が大好きだったようで、かわいい作品を色々残していますが、金魚の絵『金魚づくし 酒のざしき』も愛らしかったです。
かわいーい。混ざりたーい。

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ポスターに使われた絵は、巴御前の息子と言われる朝比奈義秀を描いた『朝比奈小人嶋遊』。
奴凧のような顔をしていますが、構図はガリバーに似ていると言われています。

彼の描く人物は、ほとんどが勇ましい男性ですが、女性も少し描いています。
ただ、なよなよとした姫のような女性はいません。
「鉄火肌の女」というテーマがあるように、彼は強く勇敢な女性を主として描いています。
平将門の娘とされ、丑の刻参りをして朝廷転覆の反乱を企てた滝夜叉姫の絵がありました。
有名な『相馬の古内裏』(前期のみ展示)で、巨大なドクロに大宅光国を襲わせているのも、彼女です。
『蝦蟇僊人と相馬太郎良門』には、蝦蟇の吐く息をの上を歩いて行く女性が見られます。
ほかに『近江の国の勇婦於兼』など、どのヒロインも、凛々しい表情をしていました。

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開港直後の横浜の町並みを描いた『横浜本町之図』(1860年)がありました。
人々は着物姿で、洋服は着ていません。まだ海外の文化は導入されていない頃です。
没年の前の年の作品でした。晩年でもなお、作風に衰えた兆しが見られないのはさすが。

どの作品も、活き活きとしてダイナミック。
国芳は、楽しみながら作品を作り続けたに違いないと思います。
見ているこちらにもパワーが伝わってきて、元気が出るような、元気を取られるような、とにかく自分の中をかきたてられるような気持ちになりました。

一枚一枚じっくり見たので、とっても体力を使いましたが、期待を裏切らない、江戸の華描く国芳展。
190年経てもなお、新鮮でフリーダムな彼の感性に魅せられました。
とっても楽しかった〜。

開催=2015.8.01-8.30
posted by リカ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 【finearts】日本画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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