2016年04月25日

あそぶ浮世絵 ねこづくし

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そごう美術館

イントロ〜広重と猫・国芳と猫
T:猫と遊ぶ−美人画の猫
U:猫で遊ぶ−おもちゃ絵と戯画
V:化け猫騒動

平木浮世絵財団の所蔵品から、歌川国芳、歌川広重、月岡芳年といった著名な浮世絵師たちの作品のうち、猫の登場する浮世絵約140点が展示されています。
猫に着目した浮世絵展、というのもまたおもしろい視点ですね。

浮世絵の猫といって思い出すのは、歌川国芳の『猫飼好五十三疋』。
彼が無類の猫好きで、自宅に猫を何十匹も飼っていたというのは知っていますが、ほかの作品はわかりません。

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入り口の自動ドアも凝っていました。
ドアの中は撮影禁止。ドアを撮ってもよいかと係員に尋ねると「真ん中の猫の部分から、中が見えるようになっているため、そこから作品が見えないよう、少しずれたあたりからお願いします」とのことで、斜めから撮影しました。

まずは「猫と遊ぶ―美人画の猫」のコーナー。
西洋画でも女性像とネコはよく一緒に描かれますが、このモチーフは浮世絵でも一緒。
美しさの相乗効果というよりは、人物の慈悲深い性格を表すために傍らに犬や猫が描かれたのだそうです。

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歌川国貞『誂染美女の新形 猫と美人』文政後期(1818-1830年)


どの作品にも必ず猫が描かれているということなので、一つ一つの作品の中に描かれた猫を探すことに。普段とは違う鑑賞の仕方が、我ながら新鮮です。

人よりも小さく、思いもよらない動きをする猫。
すぐに見つけにくいものもあります。
いないと思ったら、柱に上っている子猫もいました。

もともと小さな作品が多いため、時間をかけての鑑賞となります。
浮世絵はさほど詳しくなく、歌川国貞と国芳がまだごっちゃになったりしますが、国貞は浮世絵を一番多く描いたと言われる絵師で、役者絵、美人絵などが得意だとのこと。
ドラマチックな国芳とはずいぶん違います。

猫がいないと思ったら、着物の柄に描かれていました。
遊女の華やかな着物だけでなく、男性の着物のデザインにもなっています。
派手好きの江戸っ子っぽさがあらわれています。

次は「おもちゃ絵と戯画」のコーナー。
江戸の市井の人々を猫に置き換えて描かれたもので、猫と当時の風俗を合わせたユーモラスなものとなっています。
『今日の猫村さん』を思い出しました。

細かい群像が描きこまれており、どの猫も表情豊かで生き生きとしています。
人物画が猫になったもので、猫なのは顔だけで、首から下は人間の身体なのがまた不思議なところ。
裾からの足指は人間のものです。

温泉図では、水が苦手のはずの猫が気持ちよさそうに湯船につかっており、その2階では刺身の桶盛りで宴会が行われています。
のれんに「又多び湯」と書かれているのがにくいところ。

忠臣蔵の絵では、人のような顔ですが、ひげと耳がついている猫の顔。
そう見せかけて、実際には役者の似顔絵なんだそう。
これは、贅沢禁止令で役者絵が禁じられていた時代に、法の目をくぐるために役者猫として描いたとのこと。
見ているうちに、人なのか猫なのか、わからなくなってきます。

最後に「化け猫騒動」のコーナー。
化け猫は巨大なおそろしい猫が、画面いっぱいの大きさでふすまから顔をのぞかせているという構図のものが何枚もあり、同パターンが好まれていたことがわかります。

見つけられないと思ったら、化け猫になって闇に隠れるように黒く描かれていたりしました。
巨大な化け猫とそれを退治しようとする人の構図は、もはやねぶた絵のような勇壮さ。
かと思うと、歌川国貞のユーモラスに踊る猫又がいたりします。
ほのぼのとしていますが、尻尾が2本に裂けているので、やはり化け猫でした。

作中の猫の中からピックアップされた20数点からの「お気に入りの猫投票」も行われており、猫好きにとって楽しい企画。
みんなが候補の絵に頭を寄せて、じっくり吟味して選んでいました。
私は、広重が描いた、酉の市の日に飼い主にかまってもらえずにふてくされている様子が気に入り、一票投じました。

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歌川広重『名所江戸百景 浅草田圃酉の町詣』 安政4年(1857)


posted by リカ at 20:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 【finearts】日本画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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