2017年06月12日

創建1250年記念 奈良西大寺展 叡尊と一門の名宝

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西大寺は、奈良時代の後期に女帝・孝謙上皇(後に称徳天皇)によって創建された、南都七大寺の寺院の一つ。
平城京の東大寺に相対する位置に建立され、今回はその創建1250年を記念する展覧会となります。

展示されるのは仏像や仏教絵画、密教法具といった工芸品の数々で、西大寺のほか、元興寺・浄瑠璃寺・白毫寺、極楽寺・称名寺といった真言律宗一門の所蔵品が一堂に展示されます。

この展覧会の見どころは、次の3点です。(公式サイトより)
@ 総本山西大寺の寺宝を一堂に
創建1250年を記念し、西大寺蔵の彫刻や絵画、工芸、古文書など国宝、重要文化財を含む名宝の数々を公開します。

A 真言律宗一門の諸仏と宝物
京都・浄瑠璃寺の秘仏、重要文化財「吉祥天立像」を東京展・大阪展にて期間限定で公開します。また真言律宗一門から選りすぐりの寺宝を展示します。

B 地域性も豊かな展示構成
鎌倉時代以降、東国・畿内・瀬戸内や九州に至る真言律宗の地域的な広がりと信仰のかたちを紹介。当時の僧侶や関係者の足跡を辿ります。

第1章:西大寺の創建
第2章:叡尊をめぐる信仰の美術
第3章:真言律宗の発展と一門の名宝

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西大寺東塔跡と本堂(重要文化財)


第1章:西大寺の創建

奈良を訪れるほとんどの観光客が東大寺の大仏を観に行くと思います。
対となる西大寺は、東大寺に向かう道すがらの近鉄奈良線「大和西大寺駅」そばにあるものの、駅は乗り換えに利用されることが多く、意外にも参拝者が少ない、穴場の場所。
数年前に訪れた時も、上の画像のように、人の少ない静かな寺院でした。

今回は、真言律宗の総本山である西大寺に加えて、鎌倉の極楽寺や横浜・金沢八景の称名寺といったなじみ深いお寺の所蔵品も展示されています。

まずは密教法具の「金剛杵(こんごうしょ)」が何点も展示されています。
空海の肖像画に描かれているもので、鈷(こ)の数が異なる独鈷杵・三鈷杵・五鈷杵の三種類が金剛鈴と一緒に金剛盤の上に置かれていました。

[国宝]「十二天像」のうち「閻魔天像」「火天像」「帝釈天像」「水天像」
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[国宝]「十二天像」のうち「閻魔天像」「火天像」「帝釈天像」「水天像」(奈良・西大寺)

密教の修法道場を守護する護法神、十二天像の仏画。
9世紀の制作とされ、十二天画像としては現存最古の作例。12幅完存です。
会期の前期は「帝釈天像」「火天像」、後期は「閻魔天像」「水天像」と2幅ずつの展示となり、私が観たのは「閻魔天像」(左上)と「水天像」(右下)でした。

ほとんど剥げており、顔の部分などはよくわからなくなっていますが、同行者は「水天のそばに蛙が見える!」と恐れをなしていました。
言われてみればそうかしら、といった程度ですが、カエルが苦手な人は一瞬でわかるようです。

第2章:叡尊をめぐる信仰の美術

[国宝] 興正菩薩坐像

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[国宝] 興正菩薩坐像 鎌倉時代・弘安3年(1280) 奈良・西大寺
画像提供:奈良国立博物館 (撮影 森村 欣司)


真言律宗は空海を高祖とし、鎌倉時代中頃の西大寺の高僧、叡尊(興正菩薩)を中興の祖として仰いでいます。
新たに国宝に指定された「興正菩薩坐像」は安定感のある坐像。法衣の流れにも静けさと写実性が感じられる、叡尊80歳の寿像です。

元興寺の「聖徳太子立像」は、太子2歳と16歳の時の像で、どちらも重要文化財。

五輪塔などは梵字で書かれたものが多く、なにがなんだかわからなかったため、解説があればいいのにと思いました。

[重文] 文殊菩薩騎獅像及び四侍者立像のうち文殊菩薩坐像・善財童子・最勝老人

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[重文] 文殊菩薩騎獅像及び四侍者立像のうち文殊菩薩坐像 鎌倉時代・正安4年(1302)
奈良・西大寺 画像提供:奈良国立博物館(撮影 森村 欣司)


叡尊は文殊菩薩信仰に基づいて、多くの慈善事業を行っています。
これは叡尊の没後に弟子たちが発願し、13回忌の正安4年4年(1302)に完成した、中国五台山の文殊信仰に基づく文殊五尊像。
中央の文殊菩薩像は、通常は神象の上に乗っていますが、ここでは象から降りた形での展示。
そのため目線が近く、穏やかな表情や細かな細工の装飾品がよく観られます。
傍らの善財童子の仕草がかわいらしかったです。

第3章:真言律宗の発展と一門の名宝

[重文] 吉祥天立像(京都・浄瑠璃寺)

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[重文] 吉祥天立像 鎌倉時代 京都・浄瑠璃寺
画像提供:奈良国立博物館(撮影 佐々木 香輔)


今回の私の一番のお目当ては、この浄瑠璃寺の吉祥天でした。
浄瑠璃寺でも拝観期間が限られており、秘仏とされる吉祥天を都内で観られる絶好のチャンス。
しかしながら6/6〜6/11の6日間しか公開されないため、混雑を覚悟で向かいました。

会期終了間近ということもあり、全体的に会場内は混雑していました。
通常は、入り口付近が混雑していても、進んでいくにつれ人がばらけて、空いてくるものですが、今回は最後の方の展示室7に、人が密集していました。
黒山の人だかりの前に、吉祥天立像が。
誰もが、この像を楽しみに訪れたようです。

もともとはみうらじゅん氏が『見仏記』でべた褒めしていたことから知った、浄瑠璃寺の吉祥天女。
写真では何度も目にしていますが、やはり実際は違いますね。
厨子に入っているとのことで、小さな像を想像していましたが、像高90.0cmの、堂々とした立ち姿。
予想よりもはるかに美しく、色白の丸みを帯びた顔つきは人間的かつ気品に満ちたもので、風をはらんだようにふくらんだ衣裳のドレープもすばらしいものでした。
人の波に右に左に押されながら、見ても見ても飽きることはありません。
たしかに「日本一の別嬪像」だと言われて頷けるものです。
みうら氏同様、私もすっかりこの像の魅力に参りました。またお会いしたいなあ。


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東京の後は、大阪と山口で開催されるこの展覧会。
三井記念美術館の次の展示は、ぐっとゆるくなって「地獄絵ワンダーランド」となるそうです。
● 『創建1250年記念 奈良西大寺展 叡尊と一門の名宝』

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