2019年10月02日

「マンモス展」- その『生命』は蘇るのか -

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■ マンモス展について

私の母親はマンモス好きで、過去2005年の「愛・地球博」(名古屋)、2006年の「マンモス展」(日本科学未来館)、2013年「特別展マンモスYUKA」(パシフィコ横浜)を観に行っています。(しかもどれも何回も)
毎回そんな母の情熱に圧倒されて、後姿を見送ってばかりいましたが、今回、私も同行してみました。
夏に観た科学博物館で開催中の「恐竜展」がおもしろかったというのが大きいです。
恐竜とマンモスは、太古の生物というくくりで、なんとなくごっちゃになっているところがありますが、恐竜は約6,600万年前の白亜紀に絶滅し、マンモスは400万年前から1万年前ごろに生息していた大型哺乳類で、人間と共存していた時代もある、恐竜よりもずっと近い生物です。

広大な国土を持つロシアのサハ共和国は、人が住んでいるところで一番寒い場所と言われます。
そのシベリアの永久凍土から出土した4万年前の冷凍マンモスがやってきた、13年ぶりの「マンモス展」。

過去に開催された「マンモス展」と同じような展示かと思いきや、今回は、マンモスの鼻の一部など、世界初公開のものも5点展示されている上に、地球を取り巻く環境も変わり、すさまじい勢いで進化し続けるテクノロジーの研究結果も紹介されています。

■ 過去:マンモス、太古の記憶(紀元前5万年~)

● 仔ケナガマンモス「ディーマ」

入口を入るとすぐ、仔ケナガマンモスの「ディーマ」が出迎えてくれます。
ディーマは1977年に永久凍土の中から発見された4万年前のマンモスで、38年ぶりの来日。
科学的処理を施し、現在では常温で展示ができるようになっています。
生きている姿から肉が抜け、骨と皮になった姿ながら、間違いなく生命を宿していたディーマ。
まだ小さな身体のままでその命は終わってしまいましたが、4万年の時代を超えて人々に在りし日の姿を教えてくれています。
完全体で発掘されたことに驚きと感動を覚えます。

● ケナガマンモス

巨大スペースには、ケナガマンモスの骨格標本がありました。

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ケナガマンモスは7種類ほど確認されているマンモスの仲間のひとつです。
約540cm、肩高:270~350cm。
寒さの厳しい地域に生息していたため、、化石だけでなく肉や毛の残った個体も見つかっている事がこのマンモスの特徴です。
また、ケナガマンモスの実物を毛の触れるコーナーがありました。
固くてゴワゴワしていました。

■ 現在:永久凍土で待つもの(2018-2019年)

現地の発掘隊が永久凍土で発掘作業を行う姿を会場のVTRやパネルで見ることができます。

● 冷凍標本

温暖化の影響でロシアの永久凍土が溶け出し、その中から冷凍標本の数々が発見され続けています。
恐竜は骨の化石しか見つかりませんが、マンモスは筋肉や皮膚、体毛が残ったままで発掘される場合があり、生きていた頃の名残を生々しく残した姿を私たちに見せてくれると同時に、当時の生態や環境を知ることが可能となります。
冷凍標本が展示されているケースは、今回の展覧会のために作られたもので、ケース内をマイナス20度以下に保ちつつ、ガラス面に霜や氷が付着しないように作られた、超特注品だとのこと。
ロシアの特別重要文化財に指定されている貴重なものばかりですが、ロシアでは冷凍保存管理を行っているのみで、展示はしておらず、見られないのだそうです。
ケナガマンモスのほかに、同時期の4~3万年前のシベリアに生息していたケサイやホラアナグマ、バイソン、ノウマなど草原に住む動物たちの冷凍標本も、今回展示されています。

● 古代ウマの完全標本・フジ

世界初展示となる、約4万2000年前の古代ウマの完全冷凍標本・フジ。

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この仔ウマから、古生物史上初となる「液体の血液と尿」の採取に成功したそうです。
古代馬は小さかったんですね。マンモスとはまるで異なる、すんなりした馬の前身像を美しく感じました。

● ユカギルバイソン

特別重要文化財(ロシア連邦)。
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骨格を見ると、完全にバイソン。水牛がツンドラ気候の地にいたということに驚きますが、バイソンが生息していた頃は草原の環境だったのが、気候変化によりツンドラへに植生が変化し、絶滅していったのだそう。

● ライチョウ

特別重要文化財(ロシア連邦)。
寒い高山に生息する、ウズラのような丸々とした姿の鳥でが、さすがに肉を失った皮と骨だけの標本は、丸みがなく、言われなくてはライチョウとはわかりません。
それにしても、こんなか弱く小さな生物も掘り起こされるんだなあと思うと、発掘作業がいかに繊細に注意を払って行われているかがわかります。

● 古代の仔イヌ

特別重要文化財(ロシア連邦)。
当時はすでにイヌの家畜化が進んでいたそうです。人と犬の関係は歴史的に長いものですね。

● ユカギルマンモス

2005年の「愛・地球博」にもやってきた、特別重要文化財(ロシア連邦)のユカギルマンモスとご対面。
今回、たいていの展示物は撮影可ですが、このマンモスは不可でした。

マンモスの頭部としては最も保存状態が良い完全な標本で、大きくねじれた牙と小さな耳、側頭腺など、冷凍標本ならではの迫力があります。
とてもカッコよかったです。
母お気に入りの、少女マンモス「YUKA」は今回来ていませんでした。
ちなみに「ユカギル」とは、発掘されたサハ共和国の地名で「ユカ」という名前はそこからとられています。

● ケナガマンモスの鼻

これには驚きました。ケナガマンモスの鼻の部分が展示されています。
象同様に、マンモスの鼻には骨がなく、やわらかいため、ほかの獣に食べられるなどして、残っているのがとても珍しいのだそうです。
特別重要文化財(ロシア連邦)

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復元された等身大マンモス。
しゃがんでおなかの毛を見てみました。
おなかもごわごわの長い毛が生えており、つまり全身が毛ですっぽりと覆われていました。

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とにかくこの角に圧倒されます。
さえぎるものが何もない草原だったので生きられたものの、建物が立ち並ぶ現代の町ではとても生息できませんね。

■ 未来:その「生命」は蘇るのか(2XXX年)

未来エリアでは、冷凍マンモスの遺伝情報をもとに動き出した近畿大学「マンモス復活プロジェクト」を紹介しています。
それによると、もしかすると現代にマンモスを復活できるかもしれないのだとか。
最先端生命科学研究としては素晴らしい挑戦ですが、生命倫理の面から考えると、複雑ですね。
およそ1~3万年前に絶滅したマンモス。
人間が地球温暖化を引き起こしたことで、シベリアの永久凍土が溶け始め、凍った姿のマンモスが発見されました。
それから40年たち、現在では人間は遺伝子操作も行おうとしています。
人間は、そこまで生命の流れに手を加えていいものなのか、考えてしまいますね。
映画『ジュラシックパーク』では、蚊の化石からDNAを抽出して恐竜が復活し、大パニックになりました。
それを観た恐怖感があるからかもしれませんが、取り返しのつかないことになるのではないかという気がします。
まだ今後どうなるかわからない状態ですし、その実現に至っては、今後じっくりと議論されることでしょう。

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かわいらしい仔マンモスの復元。
「セサミストリート」に登場するスナッフィーのようです!

いずれにせよ、絶滅種を復活させられるかもしれないという科学の進歩は、目覚ましいものがあります。
その未来への可能性を広げたマンモスの冷凍標本。今回のマンモス展では、古生物と先端生命科学をつなぐ壮大なプロジェクトが紹介されていました。

マンモスに扮した(?)マツコのポスターにビックリ!

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企画展「マンモス展」-その『生命』は蘇るのか-
日本科学未来館
2019年6月7日(金)~11月4日(月・祝)


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