2019年10月18日

パリからやってきたおなじみの絵の数々~『ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』

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横浜美術館の開館30周年を記念した展覧会です。
パリ・オランジュリー美術館所蔵の、ルノワール、セザンヌ、マティス、ピカソ、モディリアーニといった有名画家13人の作品、計69点が展示されています。
これほど大きな規模のオランジュリー美術館コレクションが日本で見られるのは、21年ぶりになるそうです。

今回は、章に分かれず、画家ごとに作品が展示されています。

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■ ルノワール

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オーギュスト・ルノワール「桟敷席の花束」1878‒1880頃
MUSÉE DE L'ORANGERIE

今回、8点展示されています。
シスレー、モネがどちらも1点ずつなのに比べて、ルノワール作はかなりやってきてくれました。

目下、東京都美術館で開催中のコートールド展には「桟敷席」が展示されています。

そちらには観劇に訪れた男女が描かれていますが、こちらは花束のみ。
描かれてはいないものの、劇場に現れた男女の存在を連想させる作品になっています。

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オーギュスト・ルノワール「ピアノを弾く少女たち」1892頃
MUSÉE DE L'ORANGERIE

幸せそうな空気が伝わってくる「ピアノを弾く少女たち」。
少女たちの周囲はかなりざっくりとした描かれ方をしていることに気が付きます。

実はこの作品、同じ構図のものが、オルセー美術館に所蔵されています。
そちらのタイトルは『ピアノに寄る娘たち』。少し違いますね。

ルノワールはフランス政府から、リュクサンブール美術館に展示するための絵画作成を依頼され、6枚の作品を仕上げました。
そのうちの1枚を政府が買い上げ、オルセーに展示されることとなりました。
オルセー所蔵の方は、人物も背景も細かく描き込まれており、完成版といった貫禄があります。
このオランジュリー所蔵版は、ルノワール自身が晩年まで手元に置いていた1枚だそうです。


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「ピアノを弾くイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル」1897‒1898頃
MUSÉE DE L'ORANGERIE

その絵の横には、彼女たちよりも年齢が上の2人の女性を描いた「ピアノを弾くイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル」がありました。
年上といっても、20歳と18歳の姉妹とのことで、こちらも若い女性たち。
背景は細かく描き込まれており、ドガの踊りの子の絵が見えます。

ルロル家で開催される音楽会には、いつもドビュッシーが招かれていたのだそう。
ということは、彼女たちが弾いているのは、もしかすると『月の光』かもしれませんね。

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■ セザンヌ

今回、5点展示されています。
いまでこそ絵画の主要テーマのひとつになっている静物画ですが、当時はマイナーだったそうです。

よりメジャーにしようと取り組んだセザンヌ。彼は
「私はりんごでパリを征服するぞ!」と言ったとか。

・・・カッコイイですね!

そのエピソードとと合わせて展示されているのは、ポール・セザンヌの「りんごとビスケット」(1879‒1880頃)。
しかし、それほどの気合をもって描かれたりんごなのに、タンジェリンやネクターっぽい果物になっていました。

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■ ルソー

今回、5点展示されています。
ちょうど数日前に、原田マハの『楽園のカンヴァス』を読んだばかりなので、個人的にルソーはちょっとホットな画家。
普段以上にわくわくと前のめり気味で作品と向きあいました。

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アンリ・ルソー「嵐の中の船」1899頃
MUSÉE DE L'ORANGERIE

砂漠やジャングルなど、異国情緒たっぷりの幻想的な風景画を残しているルソーですが、実際にはフランス国外に出たことはなかったそうです。
大型船に乗ったこともないため、この嵐の中の光景は、おもちゃの船かジオラマからインスピレーションを得た、彼の空想によるものと考えられています。
彼の想像力の強さには、いつも驚かされます!

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■ マティス

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アンリ・マティス「赤いキュロットのオダリスク」1924-1925年ごろ
MUSÉE DE L'ORANGERIE

今回は、7点展示されています。
マティスの絵を見ると、いつもどこか安心します。
彼の作品は、どれもマティスらしさにあふれているからです。
今回展示された作品もどれも、マティスならではの華やかで優しい色彩の美しさに富んでいました。

マティスらしさを求める期待を裏切らず、しかしワンパターンには陥らずに、作品ごとに新鮮な驚きを与えてくれる作家です。

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■ ピカソ

今回は、6点展示されています。
青の時代のものではなく、腕の太いがっしりとたくましい女性が描かれています。
ギリシア伝説をほうふつとさせる、彼の新古典主義の作品でした。

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■ ローランサン

今回は、5点展示されています。
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マリー・ローランサン「マドモアゼル・シャネルの肖像」1923
MUSÉE DE L'ORANGERIE

そういえば、オランジュリーを訪れた時、結構ローランサンの作品が多かったなあと思い出しました。
彼女は、ココ・シャネルと同い年で、同時代に活躍しましたが、シャネルはこの絵を「似ていない」と酷評して受け取りを拒否したそう。
マリーも「あの田舎者」と、シャネルを罵り、お互い確執ができたとのこと。
そんな曰く付きの作品だったとは。
気の強い二人は、お互いを強く意識していたのかもしれません。

ミュージアムショップでは、シャネルの脚に乗っている犬のクッションがありました。
飛んでいる鳥がポーチの柄になっていました。
どちらのグッズを見た時にも、(おや?)と思って、絵を見返し、確認しました。
ミュージアムグッズも、かなりニッチなものが出てきているんですね。


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マリー・ローランサン「ポール・ギヨーム夫人の肖像」1924‒1928頃
MUSÉE DE L'ORANGERIE

オランジュリー美術館のコレクションの礎を築いたのは、画商のポール・ギヨーム。
彼の亡き後は、妻のドメニカがコレクションを増やし、最終的にはフランス政府に譲渡されました。

この展覧会の最初に、アンドレ・ドランによる「大きな帽子を被るポール・ギヨーム夫人の肖像」が飾られていました。
どちらもドメニカを描いたものでありながら、なかなかリアリスティックに描かれたドランの絵に比べると、淡い色調でまとめられたローランサンの絵は、がらりと雰囲気が変わります。
気の強さはなりをひそめ、とても優しげ。

この絵の絵ハガキを、かつてピンクの木の額に入れて、自分の部屋に飾っていました。
その時には、モデルがどんな人なのか、全くわかりませんでした。
実際には女だてらにオランジュリー美術館の所蔵品を集め、女帝のようだと言われた凄腕のコレクターだったんですね。

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■ ユトリロ

今回は、6点展示されています。
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モーリス・ユトリロ「ベルリオーズの家」1914
MUSÉE DE L'ORANGERIE


ベルリオーズはフランスの作曲家ですが、その家をユトリロが描いていたとは。
ベルリオーズが5年間住んだモンマルトルの家は、有名だったそうですが、ユトリロがこの作品を描いた時には、もう引き払っていました。

1911年に、ジョルジュ・ブラックがこの家にアトリエを作り、その頃からユトリロはこの作品を描き始めたそうです。
なぜ「ブラックの家」というタイトルにしなかったのか?
当時は、ベルリオーズの方がブラックよりも名が知られていたのかもしれません。

この絵を見ていると、壁なのか、家なのか、曖昧で考え込みます。
壁に窓がつき、なにやら煙突まで何本も出ているようですが、おそらく別の角度から見たら、ちゃんと家になっているのでしょう。

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なじみ深い名作の数々に出逢えるこの展覧会。
会期期間は長めですが、横浜美術館開館30周年の記念展であるため、他の場所での巡回はありません。
気になる方は、横浜に向かいましょう。

『オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』
会場 横浜美術館
開催期間 2019年9月21日(土)~2020年1月13日(月・祝)



posted by リカ at 19:09| Comment(0) | 【finearts】西洋画 | 更新情報をチェックする
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