2018年01月18日

無伴奏の魅力

at 東京工業大学 大岡山キャンパス
by 辻本玲(チェロ・日本フィルソロ・チェロ奏者)、
岸本萌乃加(ヴァイオリン・藝大)、
藤原功次郎(トロンボーン・日本フィル首席奏者)
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<プログラム>
(チェロ)
G.カサド 無伴奏チェロ組曲
K.ペンデレッキ 無伴奏チェロのためのディヴェルティメント

(トロンボーン)
J.S.バッハの作品 主よ人の望みの喜びよ、グレゴリオ聖歌など
モーツアルト アヴェ・ヴェルム・コルプスほか

(ヴァイオリン)
J.S.バッハ シャコンヌ 無伴奏パルティータ第2番から


無伴奏というと、バッハの無伴奏チェロソナタを連想しますが、今回は伴奏のつかないソロ演奏の音楽会。
バッハ以外の無伴奏チェロ組曲を聴くのは初めてです。
カサドはバルセロナ(カタルーニャ)出身の今世紀の作曲家で、自身もチェリスト。
ペンデレッキも現代音楽家で、非常に難解な曲ながら、演奏者は技術を駆使して見事に弾きこなしていました。

弦楽器の合間に金管のトロンボーンが入るのが不思議でしたが、もともとは教会でのみ演奏されていた楽器だとのこと。この楽器が交響曲に初めて使用されたのは、ベートーヴェンの第5「運命」と第6「田園」(1808年)だそうです。
ビッグバンドの時とは違う、まろやかな音色が会場に響きました。

カーネギーホールでの演奏も果たし、優良演奏者に送られるカーネギーホール賞を受賞した演奏者。
この日は1月17日、阪神淡路大震災が23年前に起こった日で、10歳の時に被災したという彼は追悼演奏も聴かせてくれました。

「主よ人の望みの喜びよ」は、管楽器のソロだとブレスが大変。
演奏直前に、演奏者自らが「これ、うちの電話待ち受けのメロディです」と言ったので、会場が吹き出し、一気に和みました。

「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を金管で聴くのは初めて。モーツアルトの友人が亡くなった時に作曲したものだそう。
アンコールは、「ダニーボーイ」でした。

最後のヴァイオリンは、前回のメシアン演奏会の時の方。
演奏者は藝大の現役大学院生。今回も難しいフレーズが終始続く難曲を見事に弾きこなしてくれて、会場が静かな興奮のるつぼと化しました。

アンコールは、クライスラーの「スケルツォ」。
「3分ほどで終わります」と本人が言いましたが、とてもテンポが速くめまぐるしく指が動く、これまた難しい曲を聴かせてもらいました。

チェロとヴァイオリンの方は、その才能を評価され、CoCo壱番屋からストラディバリウスを譲渡されているのだそう。
ココイチは、そんな芸術的支援を行っているんですね。
調べてみたら、創業者はとてもクラシックに理解のある方でした。(→関連記事
「ですので皆さん、カレーを食べましょう」と主催者が締めくくっていました。

久しぶりの大雨の日でしたが、みずみずしい演奏家によるクオリティの高い演奏でした。
posted by リカ at 10:32| Comment(0) | 【music】Classic・室内楽 | 更新情報をチェックする

2017年11月10日

世の終わりのための四重奏曲

藝大生と東工大生による名曲コンサート&メシアン 世の終わりのための四重奏曲
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at 東京工業大学 70周年記念講堂
by 藝大:黒岩航紀(ピアノ)、岸本萌乃加(ヴァイオリン)、矢口里菜子(チェロ)、照沼夢輝(クラリネット・日本フィル)
東工大+TBSK

(プログラム)
ポッパー:ハンガリアン・ラプソディ
ドビュッシー:月の光
カプースチン:8つの演奏会用練習曲より「トッカティーナ」
バルトーク:ルーマニア民族舞曲集
ラヴェル:古風なメヌエット(木管五重奏版)
ビゼー:カルメン幻想曲(木管五重奏版)
ドヴォルザーク:アメリカ(木管五重奏版)
ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲
ドビュッシー:シャルル・ドルレアンの詩による三つの歌(トロンボーン四重奏版)
オリヴィエ・メシアン:世の終わりのための四重奏曲(藝大グループ)
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東工大にある登録有形文化財の70周年記念講堂での演奏会。
芸大出身の4名は、国内外で活躍する若手ホープばかり。
学生たちがステージ変更を行う中で、ピアニストの椅子を出し忘れ、ピアニストが空気椅子状態で演奏する真似をしてみるなど、アットホームな一面も。
前半は東工大生を含めた音楽グループの演奏が続き、それぞれが異なる楽器編成、異なる選曲だったため、楽しく聴きました。

後半は、問題のメシアン。
「滅多に演奏される機会がない曲」とアナウンスされましたが、私は過去にも聴いたことがあり、(う~ん)と思いながらの再びの鑑賞。
⇒過去のレビューhttp://lily-art.seesaa.net/article/10728611.html

20世紀音楽の不協和音が続き、聴き慣れない身には曲の構成が読めず、展開が見えない中で集中を保ち続ける必要があるため、最後まで落ち着きませんが、好みはさておき、かなり難度の高い曲であるため、演奏できる人は限られています。
そういう意味で、演奏側にも聴く側にも非常に忍耐が強いられる難曲です。

連れは、タイトルを見て「セカオワ!」と言いました。
世の終わりがこんなイメージよりは、セカオワの方がいいですね。
こちらはフランスの作曲者オリヴィエ・メシアン(1908 - 1996)の、ナチスドイツによる捕虜収容所体験がベースになっています。
ピアノ・ヴァイオリン・チェロ・クラリネットという変わった四重奏は、当時収容所にいた音楽家の楽器に合わせたという生々しい理由からです。初演は極寒のバラック小屋の中だったそうです。

メシアンは、この寒さと飢えに苦しんだ捕虜生活中に「視覚連想」(色彩と聴音との内的同時性)を獲得したそうです。また音楽の構成は「ヨハネの黙示録」の第10章に基づいており、宗教音楽的な要素も入っているようです。

聴く側は何楽章かさえもわからない中、演奏者たちの放つ研ぎ澄まされた音にただ耳を傾けます。
相当気力体力のいる作品で、演奏終了後は、会場銃がほっとした空気に包まれました。
聴衆の気持ちとしては(気分を換える、明るいアンコール曲でもあったらなあ)と思いましたが、演奏家たちも見るからに疲労困憊しており(お疲れさまです)、アンコールは一切なく、そのまま静かに終幕となりました。

芸大出身の4名の演奏はそれぞれに素晴らしく、生で聴けた感動がありました。
posted by リカ at 18:02| Comment(0) | 【music】Classic・室内楽 | 更新情報をチェックする

2016年04月24日

杉原由希子 オーボエリ・サイタル

e000727_poster.jpgby 杉原由希子(オーボエ)、坪井きらら(ヴァイオリン)、村田恵子(ヴィオラ)、辻本玲(チェロ)、原田恭子(ピアニスト)
at 2016/04/18、東京工業大学ディジタル多目的ホール

<プログラム>
 ○ ベンジャミン・ブリテン 幻想四重奏曲op. 2(1932年)(ob, vn, va, & vc)
 ○ アンドレ・ジョリヴェ セレナード(1945年)(ob & pf)
 ○ フランシス・プーランク オーボエ・ソナタ FP185(1962年)(ob & pf)
 ○ ボフスラフ・マルティヌー オーボエ四重奏曲 H. 315(1947年)(ob, vn, vc, & pf)
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posted by リカ at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 【music】Classic・室内楽 | 更新情報をチェックする