2017年11月07日

平山郁夫 シルクロードコレクション展

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日本画壇の重鎮で、バーミヤンの文化保存に尽力した平山郁夫(1930-2009)が描いたシルクロードの旅の足跡。

シルクロードというと、アラビアの辺りかなと漠然と連想しますが、実際にはローマから中国にかけての広い地域。
そこを、海外渡航がメジャーではなかったころから何回にも渡って訪れてスケッチをしてきた夫妻。
実際に訪れた場所を地図で見ると、その移動範囲の広さに改めて驚きます。

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イラクの『サマーラーの塔』などといったスケッチは、和紙に描いているので絵の具が染み、独特の風合いを出しています。

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『敦煌石窟 57窟 南壁の菩薩像』スケッチ画


何といっても圧巻は『パルミラ遺跡を行く・朝』と『パルミラ遺跡を行く・夜』。
ラクダに乗った一行が砂漠を静かに通っていく、対になったこの2点の大作が、パルミラ遺跡の絵の両脇に据えられている空間では、一気にシルクロードロマンの世界に引き込まれます。

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『パルミラ遺跡を行く・朝』


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『パルミラ遺跡を行く・夜』2006年


女王ゼノビアで有名なパルミラですが、ローマ帝国と敵対していたんですね。
上の絵画も『コリント』も、画材にガラスを混ぜているのか、作品は砂絵のようにきらきらと輝き、アラビアンナイトの風情たっぷりでした。

バーミヤンの大石仏が破壊された後も現地へ赴いた彼。ありし日の大石仏と破壊後の絵を並べて展示されていました。
失われた文化遺産に、胸が痛みます。

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左『バーミアン大石仏を偲ぶ』 右『破壊されたバーミアン大石仏』


薬師寺玄奘三蔵院の壁画大下図の原画が10分の1で展示されていました。
突然日本が舞台になり、一瞬(おや?)と思いましたが、そういえばシルクロードの交易路は奈良にまで続いていたのでした。
シルクロード交易路の絵画は約40点が展示されています。

平山氏は、常に妻の美知子氏と一緒に渡航していました。彼女は芸大を首席で卒業し、自身も芸術家でありながら、「家の中に芸術家は2人必要ない」という恩師の前田青邨のことばを受けて、自分は絵筆を折り、夫のサポートに徹したという人。
エッセイなどを残しており、多才な方だったということがわかります。
時代が時代なら、サポートに周ったのは平山氏の方だったかもしれません。

シルクロードのたとえば「敦煌」というと、平山氏の絵画を連想する人が多いと思いますが、私は作家の井上靖の小説の方を思い出します。
井上氏は平山氏よりも23歳年上でしたが、それぞれが文と絵を担当して本を出版するなど共同作業を行っていました。

今回は、渡航の際に夫妻で集めたシルクロードの収集品も展示されています。
金銀装身具の精緻さには、失われた文化の高度さが伺えます。
夫妻が文化財保護のために各国で収集し。日本へと持ち帰った現地の工芸品や地域の織物など約170点も展示されています。

文化財保護に莫大な援助協力をし、実際に保護活動に携わった彼らは、ユネスコにその運動を評価され、世界文化遺産保護に貢献した金メダル表彰を受けています。

インドは女神像が多く、豊満な石像が展示されています。
中性(ほぼ男性)のみの日本の仏教文化とは雰囲気が違います。

収集品は小さいものも多く、また細部にわたり精巧な模様が施されている芸術性の高いものが多いため、一つ一つじっくりと鑑賞。
模様の美しい銀製鍍銀水差しや、『馬をかたどったリュトン』など馬や女性の模様が彫り込まれた器、壁ほどに大きなカシミールショールなど。
奈良の正倉院収蔵の円形切子装飾碗もありました。
ネックレスやイヤリングの精巧さと美しさ。今でも十分使えます。

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平山作品は目にしたことがあるものが多かったのですが、夫婦の収集工芸品を見たのは初めて。
展示されているシルクロードのお宝は、小品が多いながら芸術性価値が高いものばかりで充実しており、見ごたえがありました。

最後に平山氏の「パミール高原を行くロバに乗る自画像」が展示されていました。
眉を寄せた困り顔で、全く美化されておらず、どことなくユーモラス。
乗り疲れてしまったのでしょうか。
徳永家康の"しかみ顔"を思い出しました。

夫妻のもつ確かな芸術の目と、平山作品を通してのシルクロード交易路文化が紹介されている、シルクロードのロマンに浸れる展覧会です。
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「平山郁夫 シルクロードコレクション展
 夫妻の視点が織りなす、人類への遺産 」:公式サイト
そごう美術館
10月27日(金)〜12月3日(日)
posted by リカ at 12:03| Comment(0) | 【finearts】日本画 | 更新情報をチェックする

2017年11月06日

皇室の彩 百年前の文化プロジェクト

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東京藝術大学創立130周年記念特別展
「皇室の彩(いろどり) 百年前の文化プロジェクト」
東京芸術大学大学美術館


1. 皇室を巡る文化政策と東京美術学校

100年ほど前の大正期から昭和初期にかけて、皇室の御成婚や御即位といった御慶事の際に、高名な芸術家たちが自ら制作した品を皇室に献上しました。
海外でよくみられる、王室や国王が自らの権威付けのために、おかかえ宮廷画家に描かせた肖像画などではなく、当代きっての芸術家たちが皇室に献上した品々です。

また宮内庁も、宮殿の室内装飾作品や皇族同士のお祝いとして芸術家たちに制作依頼をかけており、皇室により日本文化の振興が促進されています。

宮殿内に飾られる美術工芸品の中でも、今回は東京藝術大学の創立130周年を記念して、その前身である東京美術学校にゆかりある皇室に関わる名作の数々が最初の部屋に展示されています。
東京美術学校の5代校長の指揮下で制作された作品が並び、当時の日本美術を席巻する、大観の絵画や光雲の彫刻、それに蒔絵や象嵌や鍍金は、どれも一流品のものばかり。

この部屋には、東京美術学校で教鞭をとっていた高村光雲の2作品、「猿置物」と槐の木目の美しい「鹿置物」がありました。
どちらも毛の質感まで表現されたリアルさに満ちています。

この国家規模の文化プロジェクトには、当代きっての作家たちが大勢関わり、合作も多く制作されました。
東京の名所が描かれた『東京名勝図・萬歳楽図衝立』や『東京名勝図扇面』のほか、かつての東京市からの献上品『東京市十五区名所図』がありました。

2. 大正十三年、皇太子ご成婚奉祝

次の部屋には、大正十三年の昭和天皇(当時は皇太子)ご成婚のときに献上された作品が展示されています。
関東大震災の直後で東京が壊滅的な被害を受けた時だったため、芸術家たちはこういった時にこそアートの力で奉祝の意を表そうとしたとのことです。

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高村光雲《松樹鷹置物》大正13年(1924) 宮内庁三の丸尚蔵館蔵

大正天皇、貞明皇后から息子である皇太子に贈られ、東宮御所(赤坂離宮)の玄関を飾っている鷹の置物です。

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『二曲御屏風』(腰彫菊花文様)のうち右隻 
昭和3年 宮内庁三の丸尚蔵館蔵


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横山大観『日出処日本』 昭和15年 宮内庁三の丸尚蔵館蔵

富士山を得意とした大観。朝日と富士山という吉兆を描いた大作です。

絵画以外にも、蒔絵や飾り棚といった数々の工芸品が展示されていました。

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御飾棚 鳳凰菊文様蒔絵 昭和3年(1928)宮内庁三の丸尚蔵館蔵


こうした展覧会は、時折開催されているのかと思いきや、皇室献上後、皇居外で初めて公開される作品が多いとのこと。
「100年前の皇室が関わった文化プロジェクト」という、知られざる文化事業面が明らかになるこの展覧会。
二部屋だけのこじんまりした展示ながら、この時代の美の最高峰が展示されているため、観覧者は予想以上に多く、人々の興味のほどがうかがえました。

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会期: 2017年10月28日(土)~11月26日(日)月曜日休館
公式サイト:「皇室の彩(いろどり) 百年前の文化プロジェクト」
posted by リカ at 18:01| Comment(0) | 【finearts】日本画 | 更新情報をチェックする

2016年04月25日

あそぶ浮世絵 ねこづくし

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そごう美術館

イントロ~広重と猫・国芳と猫
Ⅰ:猫と遊ぶ-美人画の猫
Ⅱ:猫で遊ぶ-おもちゃ絵と戯画
Ⅲ:化け猫騒動

平木浮世絵財団の所蔵品から、歌川国芳、歌川広重、月岡芳年といった著名な浮世絵師たちの作品のうち、猫の登場する浮世絵約140点が展示されています。
猫に着目した浮世絵展、というのもまたおもしろい視点ですね。
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posted by リカ at 20:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 【finearts】日本画 | 更新情報をチェックする