2019年03月19日

ノーベル・プライズ・ダイアログ東京2019

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at パシフィコ横浜 会議センター メインホール

テーマ『The Age to Come 科学が拓く明るい長寿社会』
(聴講講演)
● 対話-Smart Ageing Study(楽しく賢く歳を取る)
   ティム・ハント、川島 隆太
   モデレーター:藤垣 裕子
● 健康-Life Style for Healthy Ageing(健康寿命を延ばすには)
   エリザベス・H・ブラックバーン、伊藤 裕、トム・カークウッド
   モデレーター:アダム・スミス
● 講演-Serendipities of acquired immunity(獲得免疫の驚くべき幸運)
   本庶 佑
● ノーベル賞受賞者による総括パネルディスカッション
  What can we say about the future(明るい未来への展望)
   エリザベス・H・ブラックバーン、アンガス・ディートン、
   本庶 佑、ティム・ハント、ランディ・シェックマン
   モデレーター:アダム・スミス

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ノーベル・プライズ・ダイアログは、ノーベル賞受賞者を含む世界の著名な研究者たちが語り合う公開シンポジウム。
日本では2015年から4回目の開催となり、今回のテーマは“The Age to Come”「科学が拓く明るい長寿社会」。
長寿社会や老化防止にかかる最先端の研究、技術革新などについての講演会となりました。

私は、本庶 佑さんの講演を聞きたいと思っての参加。
講演は全て英語で行われ、彼の日本語は聞かずじまいでした。

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日英同時通訳がありましたが、日本語にしてもさすがは世界最高峰水準、学術的専門性が高い、難しい内容でした。
でもざっくりいえば「幸せな人ほど長生きします」ということだったよう。
科学的にも実証されていることなんですね。
テロメア研究の第一人者、エリザベス・H・ブラックバーン氏は「Stay Curious.」と言っていました。

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最後のノーベル賞受賞者たち5名の対談では、最後にモデレーターが発した「皆さん、あとどのくらい長生きしたいですか?」との問いに(そういうこと聞くんだ!)と思いました。
登壇者たちは「10年」「4年」「今の研究が立証されてから」などとめいめいに言い、本庶さんは(うろ覚えですが)「120歳まで」と言われて、会場の笑いを誘っていました。

人類の役に立つ研究を行っている彼らはとても生き生きとしており、まさにやり甲斐は生きる力とリンクすることを体現していました。

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ところで、入場する時に、うっかり間違えてパシフィコの展示ホールの行列に並んでしまい、AKB48の54thシングル「NO WAY MAN」発売記念大握手会の会場に入り込みかけました。
厳しいセキュリティチェックを受けて(さすが、ノーベル賞受賞者は世界の宝だから安全必須なのね)と思いましたが、気がつけば周りは男性だらけの特殊な空間。
自分がどうなっているのかわけがわからなくなった、びっくり体験でした!

2018年10月23日

AIとヒューマニティ

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東京工業大学 大岡山キャンパス

司会:池上 彰 特命教授、
パネリスト:國分 功一郎 教授(科学技術社会論)、調 麻佐志 教授(哲学)、大塚 凱(俳人)

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院主催シンポジウム。
工学系大学ながら「あえてAI専門家ではない」文系の教授陣がAI(人工知能)をテーマに語ります。
益学長も聴講されていました。

【初めに挙げられたテーマ】
・AIの計算領域は?権利や名誉棄損などを考えるとしたら?
・話題の本、ハラリの『ホモ・デウス』(AIとバイオテクノロジーによる進化)
・鉄腕アトムの世界ではロボットは権利を認められていた
・ドラえもんはAI?
・人間をAIの力でアップデートできるか?
・ロボット開発はどこかで怖くなるのでは?
・人間のアルゴリズムとは何か?
・個性があり、予測不可能なのが人間の行動や感情。人間にしかできないことは何か?
・人間は何を信頼して生きていくのか?

【調 麻佐志氏】
・レンブラントの描いたものかAIの作品か、見た目では判断がつかない。

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・AIはレンブラントの贋作は描けても、フェルメールの贋作は描けない。
 本物の作品数が極端に少なく、サンプル学習ができないため。
・AIにはいい質問をすることや文脈や意味を理解することはできない。
・I love you.を「月がきれいですね」と訳した夏目漱石(しかし都市伝説)
・人間の仕事がAIに取って代わられるとの危機感が高まっているが、人件費の方がAIよりも安く上がる可能性もある。

【國分 功一郎氏】
・AIは高精度に発達した計算機。
・人間は他者を内面化することで、外的世界を想像する。
・人間の他者感覚は、見えなくても奥行きを想像することができる。
 他者感覚がなくなると、世界は目に見えているもののみに限定される。
 (ドゥルーズ『意味の論理学』より)。
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・想像という力を得るには、長い時間をかけて大勢の他者と個々に交流する必要がある。(ハイデッガー)
・AIが人間を上回る地点を表すシンギュラリティ(技術的特異点)
・AIは①他者感覚、②想像力、③奥行の3つを持てるか?

【大塚 凱氏】
・学生であり起業家。俳句をつくる「AI一茶くん」と対戦後、その開発に関わっている
・AIは俳句を1分間に何万句も作れる。
・AIには俳句の良し悪しが判断できない。
・AIの作る俳句には主体となる人物が存在しない。
・既存の俳句を取り込み、内面化して自分の句を作るという点は、人間もAIも同じ。
・創造活動とは大量にインプットした情報を取捨選択すること。そこに個性が出る。

【トークセッション】
・句そのものだけではなく、文脈や背景も含まれたものが俳句。AIにはそこが難しい。
・AIが大量のサンプルをもとに学ぶことで、量は質を越えられるか。
・そもそも、我々も人間そのものをわかっていないことを、AIに実感させられる。
・人間とAIの違いは、欲望があるかどうかということ。AIは欲望を持てるのか。
・以前ITブームが起こり、消えていった。目下、AIが世界的に旬のトピックだが、一過性のブームになる可能性がある。

2018年07月20日

論語で学ぶ大人のコミュニケーション~自分も他人も幸せになる古(いにしえ)の教え~

赤坂コミュニティカレッジ7月講座
講師:井上象英 氏 NPO法人論語普及会顧問

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赤坂で孔子と『論語』についてのレクチャーを受けました。

紀元前551年の春秋時代に魯の国に生まれた孔子。
父親は高齢のため早くに亡くなり、母親に道徳的な「禮(れい)」について教わって育てられたとのこと。
孟子の母親を孟母というように、孔子の母親も孔母と言うのでしょうか。

彼は、500年前に活躍した礼学の基礎を作った周公旦から学び、「礼」を重んじる儒学を開きました。
ちなみに周公旦は、中国の周王朝を創始した武王の弟です。

『論語』とは、孔子の死後、弟子達が記録した言行録。
全20編で構成され、『孟子』『大学』『中庸』とあわせて儒教の四書に数えられています。

『論語』の中でも最も代表的なのは「学而(がくじ)」と「為政(いせい)」の編。

「子曰く、学びて時に之を習う、亦説ばしからずや。朋有り遠方より来る、亦楽しからずや。人知らずして慍らず、亦君子ならずや。」

「学習」の言葉の元となった有名な一説を、先生のあとに続いて、みんなで朗読します。
「子曰く」は、学校で「し、いわく」と教わりましたが、先生は「し、のたまわく」と読まれました。

「子曰く、吾、十有五にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知り、六十にして耳従い、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず」

これは孔子の人生を語ったもので、五十の時に知った天命というのは、自分は国の政治ではなく人物を作るべきだと悟ったことだとのことです。

「温故知新」の元も論語にあったと知りました。

儒教とは、尊敬や道徳の色の濃い教えだと思っていましたが、実際には「社会の秩序は思いやりや愛情だけでは保てず、社会的モラルとして義が必要」という考えに立っている思想だそうです。

有名な「禮(礼)」や「仁」は人間の理想の姿を説いたもので、具体的な「忠」「孝」「信」という倫理感も教えているとのこと。

ソクラテスやキリスト、釈迦の教えとの比較を聞きながら、孔子を含めどの聖人も、のちに弟子がその教えを筆記して本にしているんだなあと思いました。

儒教は日本に取り入れられ、足利学校では儒学を中心にした学問が教えられていたそうです。
当時の教えをほうふつとさせるような資料が回覧されました。

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藩校には、孔子の銅像があるのだそう。今度訪れた際には気を付けて探してみたいものです。

孔子の血は脈々と受け継がれ、今は79代目の孔垂長さんが子孫としてご存命。
その方から先生に献本された、中国出版の論語集もありました。

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論語の中で、孔子は「聞く」という書き方はされないのだそう。
「聞く」は自分主体を意味する言葉で、彼は常に人の言うことに耳を傾け、「聴く」ことをしていたのだそうです。

時代が移り変わり、現代のアジアの国の中で、儒教の教えが一番残っているのは、日本なのだそう。
もはや中国も韓国も、その教えは薄れてしまっているようです。
国語の時間にさらっと習っただけの論語を、今回時代背景や家族関係も含めてレクチャーしてもらい、あらためて孔子についての理解が深まりました。