2017年11月10日

世の終わりのための四重奏曲

藝大生と東工大生による名曲コンサート&メシアン 世の終わりのための四重奏曲
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at 東京工業大学 70周年記念講堂
by 藝大:黒岩航紀(ピアノ)、岸本萌乃加(ヴァイオリン)、矢口里菜子(チェロ)、照沼夢輝(クラリネット・日本フィル)
東工大+TBSK

(プログラム)
ポッパー:ハンガリアン・ラプソディ
ドビュッシー:月の光
カプースチン:8つの演奏会用練習曲より「トッカティーナ」
バルトーク:ルーマニア民族舞曲集
ラヴェル:古風なメヌエット(木管五重奏版)
ビゼー:カルメン幻想曲(木管五重奏版)
ドヴォルザーク:アメリカ(木管五重奏版)
ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲
ドビュッシー:シャルル・ドルレアンの詩による三つの歌(トロンボーン四重奏版)
オリヴィエ・メシアン:世の終わりのための四重奏曲(藝大グループ)
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東工大にある登録有形文化財の70周年記念講堂での演奏会。
芸大出身の4名は、国内外で活躍する若手ホープばかり。
学生たちがステージ変更を行う中で、ピアニストの椅子を出し忘れ、ピアニストが空気椅子状態で演奏する真似をしてみるなど、アットホームな一面も。
前半は東工大生を含めた音楽グループの演奏が続き、それぞれが異なる楽器編成、異なる選曲だったため、楽しく聴きました。

後半は、問題のメシアン。
「滅多に演奏される機会がない曲」とアナウンスされましたが、私は過去にも聴いたことがあり、(う~ん)と思いながらの再びの鑑賞。
⇒過去のレビューhttp://lily-art.seesaa.net/article/10728611.html

20世紀音楽の不協和音が続き、聴き慣れない身には曲の構成が読めず、展開が見えない中で集中を保ち続ける必要があるため、最後まで落ち着きませんが、好みはさておき、かなり難度の高い曲であるため、演奏できる人は限られています。
そういう意味で、演奏側にも聴く側にも非常に忍耐が強いられる難曲です。

連れは、タイトルを見て「セカオワ!」と言いました。
世の終わりがこんなイメージよりは、セカオワの方がいいですね。
こちらはフランスの作曲者オリヴィエ・メシアン(1908 - 1996)の、ナチスドイツによる捕虜収容所体験がベースになっています。
ピアノ・ヴァイオリン・チェロ・クラリネットという変わった四重奏は、当時収容所にいた音楽家の楽器に合わせたという生々しい理由からです。初演は極寒のバラック小屋の中だったそうです。

メシアンは、この寒さと飢えに苦しんだ捕虜生活中に「視覚連想」(色彩と聴音との内的同時性)を獲得したそうです。また音楽の構成は「ヨハネの黙示録」の第10章に基づいており、宗教音楽的な要素も入っているようです。

聴く側は何楽章かさえもわからない中、演奏者たちの放つ研ぎ澄まされた音にただ耳を傾けます。
相当気力体力のいる作品で、演奏終了後は、会場銃がほっとした空気に包まれました。
聴衆の気持ちとしては(気分を換える、明るいアンコール曲でもあったらなあ)と思いましたが、演奏家たちも見るからに疲労困憊しており(お疲れさまです)、アンコールは一切なく、そのまま静かに終幕となりました。

芸大出身の4名の演奏はそれぞれに素晴らしく、生で聴けた感動がありました。
posted by リカ at 18:02| Comment(0) | 【music】Classic・室内楽 | 更新情報をチェックする

2017年11月07日

運慶の後継者たち-康円と善派を中心に

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トランプ大統領訪日中の厳戒態勢の都心を抜けて、東京国立博物館へ。
今回は平成館の『運慶』展ではなく、本館が目的です。

ここはなんといっても、撮影可の美術品が多いのがありがたいところ。
外国人も熱心に見学しています。

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塩山蒔絵細太刀拵 初代飯塚桃葉作 江戸時代・18世紀


初代飯塚桃葉は、蜂須賀家の御用蒔絵師。
儀式用に作られた細太刀の美しい鞘の絵巻は、まさに芸術品です。

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【重文】金銅聖観音懸仏 鎌倉時代・建治元年(1275)
 

鏡板に立体的な仏像・神像を取り付けた懸仏。
穏やかで安らいだ、美しい表情です。

刀剣の部屋には刀剣女子が展示品の前に貼りついていました。
国宝まで撮影可とは太っ腹です。

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【国宝】太刀 長船景光(号 小龍景光) 鎌倉時代・元亨2年(1322)


鎌倉時代末期に活躍した景光は、長光の子で備前長船派の正系の刀工。この太刀は直刃調の刃文で景光の最高傑作とされています。
倶利伽羅龍と梵字が浮き彫りになっており「小龍景光」と号されています。

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【重文】刀 相州正宗(名物 石田正宗) 鎌倉時代・14世紀


正宗が作刀した日本刀の一つで、号の「石田」は石田三成が所持したことに由来しています。

小部屋を通って今回の目的地、本館14室にやってきました。
特別展『運慶』展の公開に合わせて、ここで『運慶の後継者たち―康円と善派を中心に』が開催されております。

運慶の孫にあたる康円(1207~?)と、康円と同じ頃に活躍した仏師、善円(のち善慶と改名、1197~1258)の作品をメインとした展示。
善円らの系統の仏師たちは善派と呼ばれ、康円の慶派とは別に、奈良を中心に活動していました。
展示品は康円作が10点、善円作が1点、無銘3点の計14点。
うち12点が重要文化財です。

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重要文化財 菩薩立像 鎌倉時代・13世紀


この像は、上下の唇にも薄い水晶板を当てており、玉眼だけでなく玉唇の技法が用いられています。

ほかの鎌倉時代重要文化財では、興福寺伝来の文殊菩薩坐像と善財童子立像、京都・神護寺蔵の愛染明王坐像が展示されています。(3点とも康円作)

運慶の流れを汲んだ生き生きとした仏像が間近で見られ、小さな展示ですが、運慶以後の鎌倉彫刻が紹介されています。

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晴天の美しい休日。ちょうど奥の庭園が公開されており、美しい敷地内で多くの人がくつろいでいました。

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『運慶の後継者たち―康円と善派を中心に』
2017年8月29日(火) ~ 2017年12月3日(日)
東京国立博物館 本館(日本美術):公式サイト
posted by リカ at 15:25| Comment(0) | 【finearts】その他 | 更新情報をチェックする