2016年07月10日

ストレスの効能〜心理学的見地からみる自分の育て方・人の育て方〜

7月06日(水)at PLUS+(ACC-611) by 仲田有佑(心理療法家)

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今回の先生は心理療法家の仲田有佑氏さん。
20数年人の心に携わってきた先生。この日はちょうどバースデイだったそうです。

30年ほど前は「心の病」といったらノイローゼかキチガイしかなく、その後、うつがでてきました。
今ではノイローゼよりもうつの症状の方がはるかに耳にする機会の多い、身近なものとなっています。

心の病の一つとされるADHD(注意欠如多動性障害)。
学校にいる多動症の生徒は、昔はクラスに一人程度でしたが、今は5、6人もいるんだとか。
先生一人ではとても対応しきれない状態で、ボランティアの父兄が教室の後ろで授業を見守り、多動症の生徒を抑えるそうです。

生きていく上での壁を自分の力で乗り越えていくことは心の成長となりますが、自力で対応できないことは心の病の原因となります。
心の病とは、自分の中の子どもが暴れ叫んで聞き分けがきかない状態。
それをおさえつけようとすると、悪化してしまう一方です。
それを育てようとするのが、心理療法だそうです。

日本人は劣等感がすごく強い民族。それは非を認めたくないという気持ちにつながり、相手の劣る点を探すようになるのだとか。
劣等感を抱えたプライドの高い国民性で、日本人の80%が「自分が嫌い」と答えるそうですが、自分を好きになると心の病は消えるそうです。
自分への興味を失わなければ心は折れないのだそう。
たしかに、おめでたいほどのナルシストの人は、見るからに幸せそうで心の病には無縁のようです。

現代はストレス社会と言われ、心の病気の原因はストレス(ひずみ)だとされて嫌がられますが、ストレスは悪い点ばかりではないのだとか。
ストレスは快のものと不快のものと二種類に分かれ、ストレスにチャレンジすることで心が強くなっていく、生きていく上で必要なものだそうです。
嫌いすぎずに上手な付き合い方を知ることが大事なのだとか。

ストレスの感じ方は人それぞれで、若い方が経験値が低い分耐久力が低いものです。
たとえば、子供の頃にエアコンなしで育った世代は、今でもエアコンがない状態にそれなりに対応できるものの、生まれた時からエアコンがあり、学校もエアコン完備だった世代は、エアコンがない状態には耐えられません。
それを批判せずに理解してあげないと、ストレスが発生し、心の病に発展するのだそう。
ですから年上が年下に合わせることが必要だとのことです。

自分自身が義務感を感じるものはストレスになりやすいもので、初心にかえってそれを始めた時のワクワクを思い出すことは重要だとか。
ストレスをコントロールするための方法として、やけ食いはその場しのぎではあるものの、必要な対処法だそうです。
ストレス発散のため、我慢せずにやけ食いをするのが良いようです。

心の病を抱えているのは、抜け道がない閉塞状態のように思えていましたが、先生のお話を聞いていると、向き合い方次第では克服可能なもののように思えてきました。
ストレスとはうまくつきあっていきたいものです。

2016年07月05日

「メアリー・カサット展」夜間特別鑑賞会

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優しい愛に包まれた母と子の絵が特徴的な印象派のアメリカ人画家、メアリー・カサット(1844-1926)の作品展。
日本国内には所蔵が少なく、今回は実に35年ぶりの大回顧展になります。
カサットの人生の紹介とともに、初期から晩年にいたるまでの計100点の作品が展示されて要る今回の展覧会。
このたび、夜間観賞会に参加し、学芸員の方のギャラリートークを聴きながら作品を鑑賞できました。

* 写真は主催者の許可を得て撮影したものです。

〇 カサットの生き方
アメリカ人の裕福な家庭に育った彼女。父親が画家になることを反対したため、自分で旅費を稼いでフランスへ。留学目的でしたが、パリのエコール・デ・ボザール(国立美術学校)では当時女性を受け入れていなかったため、ルーブル美術館で模写をして技術を磨き、19世紀後半のパリの画壇にデビュー。
自分の夢に向かって歩み続ける、行動的な女性です。

母と子の愛情あふれる作品を多々残していながら、自身は生涯独身を貫いた彼女。
そのためか、男女を描いた作品はほとんどありません。
この展覧会でも、ゴヤにインスピレーションを受けたと言われる作品《バルコニーにて》1873年くらいです。
男性の肖像画もほぼなく、彼女のよき理解者だった兄の絵くらい。

フランスで学んだ印象派をアメリカに広めた貢献を称えられ、フランス政府からレジオン・ド・ヌール賞を受賞。
自分の力で努力して成功を勝ち取った、新しい時代の女性の姿がありました。

〇 女性画家の視点
生命感にあふれる彼女の人物画は、身近な人の肖像画が多く、とても親密な印象。
人物中心で、風景はあくまで人物の背景の役割でしかありません。

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左:《庭の子どもたち(乳母)》1878年 ヒューストン美術館蔵
右:《浜辺で遊ぶ子どもたち》1884年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵

砂浜で夢中で遊ぶ子供たちが描かれていますが、海はあくまで脇役扱い。絵の中心は子供たちです。
この子供たちには、画家と数年前に亡くなった姉を重ね合わせて描いているのではないかと言われています。

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左:《扇を持つ婦人(アン・シャーロット・ガイヤール)》1880年 個人蔵
右:《桟敷席にて》1878年 ボストン美術館蔵


会場はコメディ・フランセーズでしょうか。黒い昼用ドレスでマチネを観に来た、オシャレな女性。
男性から見られていても、全く意に介していません。
見られる対象から見る対象へと変わる、近代女性の誕生を示唆したチャレンジングな作品で、カサットの宣言ともとれるとのことです。

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左:《ロバート・S・カサット夫人、画家の母》1889年 デ・ヤング・サンフランシスコ美術館蔵
中:《タペストリー・ファームに向かうリディア》1881年 フリント・インスティチュート・オブ・アーツ蔵
右:《眠たい子どもを沐浴させる母親》1880年 ロサンゼルス郡立美術館蔵

母、兄、姉の肖像画はそれぞれ別の美術館に所蔵されているため、ここで一家が勢ぞろいして画家も嬉しかろうというキュレーター。
右は、ルーベンスの母子像を彷彿とさせる構図でした。

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左:《果実をとろうとする子供》1893年 ヴァージニア美術館蔵
右:メアリー・フェアチャイルド・マクモニーズ《そよ風》1895年 テラ・アメリカ美術基金蔵


シカゴ万博博覧会の壁画を手がけた二人。それ以降は新しい女性像が描かれるようになっていきます。
昔のエデンで知恵の実をアダムから分けてもらうイブとは違い、自ら果実をもぐこれからの女性像が描かれています。
量感があり、肉付きがいい健康そうな母子。地に根付いたようなどっしりした安定感があります。
それとは対照的に、マクモニーズの作品は軽やか。
ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ風に描かれています。

〇 ドガとカサット
ドガの作品を観て感銘を受けたカサット。
ドガも彼女の才能を見抜き、1877年に彼女のアトリエを訪れて、印象派の仲間に入るように勧めました。
すでにサロン(官展)で評価されつつありましたが、息苦しさを感じていた彼女は、サロンと決別をして当時ほとんど知られていなかった印象派に転向。
自由な表現の解放を目指したそうです。

ドガは女嫌いで有名でしたが、カサットは例外だったとのこと。
知的で活動的な女性として彼女をとらえており、お互い感銘し合う間柄だったそうです。

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左:エドガー・ドガ《踊りの稽古場にて》1884年頃 ポーラ美術館蔵
右:エドガー・ドガ《踊りの稽古場にて》1895-98年 ブリヂストン美術館蔵


〇 同時代の女性画家たち
当時は女性の職業画家が少なかった時代。
彼女同様に社会に進出していた他の女性画家との交流もあり、仲が良かったそうです。
近代女性のパイオニアともいえる彼女たちは、認められるまでにたいへんな苦労と努力をしたでしょうが、展示された他の画家の作品も、そうした苦労を見せない、優しさに満ちたものばかりでした。

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左:マリー・ブラックモン《お茶の時間》1880年 プティ・パレ美術館蔵
中央:ベルト・モリゾ《バラ色の服の少女》1888年 東京富士美術館蔵
右:エヴァ・ゴンザレス《画家の妹ジャンヌ・ゴンザレスの肖像》1869-70年頃 個人蔵


〇 カサットが愛した日本美術
日本の浮世絵に引かれ、技法を取り入れた彼女。
歌麿などの浮世絵が展示されていました。
浮世絵の親密さと、ルネサンス期の聖母子像の普遍さが、カサットの母子像に現れていると言われています。

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左:《沐浴する女性》1890-91年 ブリンマー・カレッジ蔵
右:《母のキス》1890-91年 アメリカ議会図書館蔵

多色刷り銅版画の連作には、浮世絵の影響が見られます。
特に左の絵の女性を描くなめらかな線は明らかに浮世絵のラインを連想させるものでした。

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左:《夏の日》1894年 テラ・アメリカ美術基金蔵
右:《ボートに乗る母と子》1908年 アディソン美術館蔵


晩年は白内障を患った彼女。そのためにパステル画が増えました。
この展覧会では、自分の境遇に悲嘆せず、1926年に86歳で亡くなるまで、常に前に進み続けて好きな絵を描き続けていた彼女の生き方が紹介されています。
その強さが、彼女の作品に安定感を与えて、観る人を幸せで温かい気持ちにさせているのだろうと感じました。

【開催概要】
「メアリー・カサット展」
会場:横浜美術館(みなとみらい)
開催期間:2016年6月25日(土)−2016年9月11日(日)
開館時間:10:00−18:00  休館日:木曜日
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2016年07月04日

国吉康雄展 Little Girl Run for Your Life

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「国吉康雄展」そごう美術館


今回初めて知った画家。岡山出身で1906年に16歳でアメリカに渡った彼は、はじめは特に目的はなかったものの、苦労をして日銭を得ながら画学生となって絵を学び始めて職業にしたという、日本よりもアメリカでの美術の影響を受けた洋画家です。

全体的に暗い色合いの不気味な感じのする作品群。
子供には無邪気さや快活さはなく、大人びた表情をして、見ている側が不安になります。詳しくありませんが、これがアメリカモダニズムや幻想的表現主義なのでしょうか。

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明るい軽やかな色調の作品を描くマティスと友人と知って意外な気がしました。
『ピクニック』は、セザンヌっぽい色合いだと思いましたが、同行の母はルノワールに似ているとの感想。
印象派のルノワールの作風とセザンヌの色調、どちらの影響も受けています。

カメラ撮影も行っていた彼の展示物には、時折写真作品も混ざっており、注意深く見ないとどちらかよくわからない小品もあります。

アメリカの国籍はないものの、北米を代表する画家十数名の中に入るほどになり、アメリカでの地位を確固たるものにした彼。
第二次世界大戦中には敵国外国人という扱いを受けたものの、「アメリカ人画家」としてのアイデンティティを持っていた彼はアメリカで日本を批判する立場をとりつづけます。
戦時情報局(OWI)から対日プロパガンダの仕事を受けて作成した「日本側の残忍な拷問や虐殺」のシーンが描かれた反日ポスターのシリーズも展示されていました。
10点ほど並んでおり、これを描いたのが同じ日本人というのは、やはりショック。
恐ろしい顔をした鎧武者をモチーフにしたものや「SINK HIM」と描かれたものなど。
アメリカで生きていくことを選択したこその結果でしょう。

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西瓜(スイカ)の絵があり、普通に見ると単なるスイカですが、「アフリカ系の人を白人が指す言葉」だという解説がありました。
なにか人種問題の隠喩を伝えたかったのでしょうか。その点に関する解説はありませんでした。
戦争による反日感情をかき立てる役目を追っていながらも、あらゆる人種に当てはまるように見える描き方を心がけたということ。
彼の作品は、当時の時代の世相を強く受けていたのだと思えます。

望郷の念は起きなかったのか、反日ポスター以外で日本をモチーフにしたものは、このくらいしかありませんでした。

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日本の張子の虎とがらくた 1932年


入り口を入ってすぐに『少女よ、お前の命のために走れ』という作品(ちらし上部)がありました。
巨大なバッタとカマキリが描かれ、その間に小さく少女の後姿が見えるという不可解な構図で、そこに描かれた少女が「私はなぜ画家に走るように促されたのか?」という疑問を持ちながら彼の作品を案内していくという展示スタイルになっていました。

その答え探しをしながら画家の人生を追っていくという手法はいいのですが、最後まで行っても答えは特に出なかったため、多少もやっとしました。
「答えは未来にある」ということで、まだ先に委ねられている模様。
彼の日本での評価はまだこれからということかもしれません。
posted by リカ at 20:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 【finearts】西洋画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月23日

日本磁器誕生・有田焼創業400年「400年 有田の魅力展」内覧会

2016.6.22
at 東武百貨店 池袋店 8階催事場
copy 「美を宿し、用を叶えて400年。」
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佐賀の磁器、有田焼が今年で創業400年を迎えることを記念して開催される展覧会。
開幕日前日に行われたオープニングセレモニー&特別内覧会に出席しました。
上品さと華やかさをあわせもち、江戸時代からヨーロッパ貴族にも愛されてきたという有田焼には、世界中にファンがいます。

オープニングセレモニーには、人間国宝で陶芸家の井上萬二氏(写真中央)、日本文学研究者・コロンビア大学教授のドナルド・キーン氏(写真左)が登壇。

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人間国宝の方のお話を聞けるチャンスはなかなかありません。
華やかな色柄が特徴の有田焼の中で、白い磁器にこだわっているという彼の作品は、どれも幻のような透き通る美しさで、目を奪われました。

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「白磁菊彫 文鶴首花瓶」 <径29×高さ36.5cm>(現品のみ、2,160,000円)

また、小さいころから名前を知っており、いつかお会いしてみたいと思っていたドナルド・キーン氏の御姿を拝見できて感激しました。
今年94歳とのこと。ユーモアを交えた挨拶をしていただきました。

その後、会場内で3名のエキスパートによる特別内覧会が行われました。
 陶芸家(人間国宝) 井上萬二氏 「400年の匠の技」
 佐賀県立九州陶磁文化会館館長 鈴田由紀夫氏 「有田焼の歴史」
 フードスタイリスト 遠藤文香氏 「食卓を彩る豆皿コーディネイト」

鈴田館長から、有田焼の400年の歴史を、時代時代の作品の紹介を受けながら解説していただきました。
初期伊万里様式から古伊万里金襴手様式など約20点の作品がブースに展示されており、様式の変遷を見ながら有田焼400年の伝統と発展を感じることができました。

これまで「伊万里」と「有田焼」の区別がよくついていませんでしたが、「有田」は器を作った場所で、「伊万里」は器を積んだ港の名前だそうで、結局同じものを指すそうです。
初期のものは「有田焼」ではなく「初期伊万里」と呼ぶのだそう。
それで「古伊万里」という言われ方をするんですね、と、「なんでも鑑定団」の中島誠之助氏を思い出しました。

はじめのうちは、青色しかなかったため、初期伊万里は青の単色だそうです。
また、地は白くはなく、少し茶味がかっています。
それが素朴で温かいというファンが多いとのこと。

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初期伊万里様式 染付松竹梅文皿 1610-1630年代


途中段階でも器は分厚く、発色は濃く、時に歪みが見えたりもします。
その田舎っぽさが残る点がむしろ魅力だというファンもやはり多いとのこと。

地の色が青白い時には青は映えますが、赤は沈むそう。
ミルキーホワイトだと赤が映えるそうです。
有田焼の印象的な赤色は、地の色を反映させた発色効果だと知りました。

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柿右衛門様式 色絵草花鶴文輪花皿 1670-1680年代


そうしたものから、時代を経て洗練されていき、日本の伝統にヨーロッパの嗜好が加味されて、見違えるように鮮やかなものに変わっていく様子はドラマチックです。
ドイツのマイセンがコピーしたというのも頷ける美しい色合いを楽しみました。

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マイセン窯 色絵花盆八角皿 1740年代前後


美しさと機能性を兼ね備えた現15代柿右衛門の作品もありました。
2014年に襲名したばかりですが、1600年から続くこれまでの柿右衛門の手がけた作品にはないモチーフの作品を発表するなど、伝統をもとに更なる進化をとげているとのことです。

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十五代酒井田柿右衛門の作品


有田焼というと、ものものしいイメージもありますが、遠藤氏には、料理と豆皿のコーディネイトを通じて、日常生活にさりげなくカジュアルに取り入れられる、小さな豆皿についてのレクチャーをしていただきました。
会場には、彼女がディスプレイを手がけた「食卓を彩る豆皿コーディネイト」ブースも設置されています。

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会場には、現代有田焼を代表する井上萬二氏、十四代今泉今右衛門氏、十五代酒井田柿右衛門氏といった28名の作家の作品や、源右衛門窯、香蘭社、深川製磁といった人気窯元の作品などが展示されています。
また陶芸作家や伝統工芸士が工房で行っているろくろ成形・絵付けの実演を行い、匠の技を披露してくれます。
展示品は、気に行ったらその場でお買い上げできるようになっていました。
本日から開催。6日のみの展示です。

■開催概要
タイトル : 日本磁器誕生・有田焼創業400年「400年 有田の魅力展」
日  時 : 2016年6月23日(木)〜6月28日(火)
場  所 : 東武百貨店 池袋本店 8階催事場
営業時間 : 10:00〜20:00 ※最終日は17:00閉場

ネット通販市場の動向 〜小売市場をリードし、変えていくネット通販の実態を探る〜

2016.6.22
by 公益社団法人 日本通信販売協会理事 柿尾正之、PLUS+

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今回の赤坂コミュニティカレッジのお題は、ネット通販市場について。
普段よりもビジネスマン風の参加者が目立ちます。
国内の話かと思ったら、全世界的な動向を語ってくれる壮大なレクチャー内容になっていました。

講師はたくさんのデータを紹介してホットな状況を教えてくれましたが、自分の情報処理能力はそれに追いつかず、分かる範囲での感想となります。

ここ近年でのネット通販市場の拡大は目覚ましく、販売額は継続的に上昇中。
長い不況も関係ないほどの売り上げです。
分野別市場でも、デジタル分野は物販やサービスの3倍の高い伸び率となり、一人勝ちといった状態にあります。

メディアの広告費は、テレビや新聞がほぼ横ばいなのに対し、インターネットのみが上昇中。
顧客は男性利用率が増加し、利用媒体はスマホやタブレット端末等のネットが急上昇しています。

そうした動向を踏まえて、ビジネスモデルの新しい構築がなされつつあるところですが、売上高上位の通販企業は、10年前は千趣会やニッセン、アスクルといった通販大手が上位を占めていたのが、現在は10年前には10以内にランクインしていなかったアマゾンが1位。
アマゾンはめざましい発展を遂げています。

小売業はデジタル化とディスラプション(秩序の崩壊)が進んでいるそう。
ネット販売の拡大の影響を受けて、店舗閉鎖が相次いでいるのは全世界的兆候。店舗数やスペースの減少が進んでいます。

今年のアメリカ小売業のキーワードは「ディスラプト、デジタル、シームレス、オンディマンド、オムニチャネル、ミレニアル世代、顧客体験、パーソナル化」とのこと。
知らない単語もちらほら見られます。

ネット販売の上位はアマゾン、千趣会、ヨドバシカメラ。
顧客満足度ではヨドバシ、通販生活、Joshin webという順位です。

世界の企業成長率ランキングのベスト10には、中国の企業が多く登場し、日本はMonotaROが9位に入っているのみ。
この辺りの物流問題(ボトルネック)が日本の今後の問題点だそうです。

ネット通販の増加に従って顕在化しているのが、深刻なドライバー不足。
今の若者は、ドライバーになりたがらず、高齢化、減少化しているそうです。
日本では送料無料・再配達が当たり前のサービスとなっていますが、こうしたコストのかかる点が、ゆくゆくは通販企業の首を絞めることになるかもしれないということです。

アメリカでは、品物配送料がかかる上に再配達のサービスはありません。留守の場合には配送者は家の前に荷物を置いて行きます。
また、ドライバーになる移民がいるためにこの点は問題化されませんが、嫌な仕事をやる人が不在の日本では大きな問題となりつつあるとのことです。

通販の成功要因は、高い価値を顧客に提供すること。
そのために、レビューサイトが大きなポイントとなっているようです。

アメリカ、EU諸国の状況の次に、中国の市場概説が行われました。
アリババの急成長が目立つ中国。その分、百貨店の閉鎖は続いているようですが、アリババグループの「天猫(Tモール)国際」が国内の圧倒的シェアを背景に、グローバル化を進めているそうです。
中国人は自国ブランドを買わないため、ネットでの海外有力ブランド取扱いに乗り出し始めたとのこと。
日本企業も次々に出店を始めているそう。
これからは商品のグローバル化も広がって行き、自社製品のみで行っている会社の限界が見えてきているとのこと。

中国はクオリティが悪いというイメージがありますが、悪い店舗は淘汰されて、顧客への対応や配送スピードなど、しっかりとしているそう。
中国政府がバックアップをしているため、勢いもあるそうです。

日本政府はこうしたネット市場へのバックアップはあまりなく、中国とは対照的だとのこと。
どちらもよしあしで、日本は国のテコ入れがない分、クリーンだけれど時間がかかるとのことです。
日本側企業はまだ戦略不足で体制が不十分といった印象だとのこと。
ビジネスの成功は現地化であり、日本は中国に対しての上から目線を変えない限りはうまくいかないとの意見でした。

このほか、現状についての様々なレポートを教えてもらい、どれもためになりましたが、私の頭がどこまで消化できているのかがはなはだ不安なところ。
とはいえネット通販の利用者として、今後の市場動向は気になる点ですし、世界的な流れがつかめたことは、大まかな理解に繋がりました。
アリババの天猫(Tモール)国際、これからどんどん日本の市場に入ってくるんでしょうね。