2017年10月16日

興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」

東京国立博物館(東博)平成館
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開催前から大きな話題を呼んでいる『運慶展』に行ってきました。
なぜ話題かというと
・教科書に載っており、誰でも知っている有名仏師運慶 の、
・全国各地に現存する運慶作といわれる仏像31体のうち、22体が結集した史上最大規模の展覧会 で、
・運慶の父や息子の作品も展示し、慶派の流れがわかる
という理由からです。

運慶(生年不詳~貞応2(1223年)年12月11日)は、日本の歴史の中でも一番著名で人気の高い仏像製作者。
約70点の展示品のほとんどが国宝や重要文化財指定を受けているお宝ばかり。それがここまで一カ所に集まるのは初めての機会です。

混むことは必須ですが、それでも観に行きたいもの。
早起きして、博物館の開館前に向かいました。
行列はできていたものの、それほど待つことなく入場。
しかし、敷地内に入ってから、平成館の前でまたもや行列に並ぶこととなりました。

中に入っても大混雑していましたが、一体一体が独立した展示をされているため、アリの行列のように順々に動くこともなく、覚悟していたよりもずっと鑑賞しやすいものでした。

運慶のほかに、父親の康慶、息子の湛慶、康弁らの作品も展示されており、彼らの作品から親子3代にわたる慶派の流れを知ることができます。

● 大日如来 

入ってすぐのところにさっそく国宝があり、人々の足を止めさせます。
「運慶デビュー作」と紹介されていますが、そうとは思えないほどの完成度の高さ。
引き込まれそうです。

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国宝「大日如来坐像」運慶作(奈良・円成寺蔵)


新宗教教団の真如苑が2008年にニューヨークのクリスティーズ・オークションで13億円で落札したことで話題になった大日如来像も展示されていました。
この二体の像を比べると、非常に似ています。
これが運慶の大日如来像なんですね。

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「大日如来像」運慶作(12世紀 東京・真如苑蔵)

厨子に納められた大日如来坐像もありました。
こちらは小ぶりで、膝を曲げて鑑賞。
細部に至るまで丁寧に作られており、見飽きません。
飛天も美しく、動きあるものでした。

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「厨子入大日如来坐像」運慶作(12~13世紀、栃木・光得寺所蔵)


● 八大童子

高野山金剛峯寺が所蔵する、八大童子の像。
不動明王に仕える童子たちの生き生きとした立像です。
童子をまとめてではなく、一体一体専用のケースに入れて独立させて展示しています。

どの童子も、衣の模様がとても美しく、紐に至るまできちんと表現されています。
360 度ぐるりと鑑賞できるのが、とても嬉しいところ。
ぐるりと回ってみると、全体的な質感が実感できます。

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国宝「八大童子立像」運慶作(鎌倉時代 金剛峯寺蔵)


八大童子の中でも制多伽(せいたか)童子と矜羯羅(こんがら)童子が不動明王の使者の二童子としてよく知られていますが、特に印象的だったのは、恵光童子。
毛先カールは矜羯羅童子像に似ていますが、色白なので、衣の色が映えています。
左手に持っているのは、灯りではなく月輪を乗せた蓮華。
怒りの表情をしていますが、とても美しい像です。これで恵光さんのことを覚えたわ。

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左・恵光童子 右・制多伽童子


● 四天王

四天王立像が何体も展示されていました。
中でも注目すべきは、奈良・興福寺南円堂の国宝「四天王立像」。
約2メートルの巨像で、見上げての鑑賞となります。
動きがあり、力強さがみなぎっています。
運慶の像といえば筋肉隆々のイメージですが、よろいや衣の表現も厚みがあって、精緻ですばらしいことを知りました。
静岡・願成就院蔵の四天王立像も、動きがあり躍動感に満ちたものです。

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国宝「毘沙門天立像」運慶作(静岡・願成就院蔵)


運慶の活躍した時代は、平安時代の貴族社会から鎌倉時代の武家社会へと主権が移り変わるさなかでした。
新興勢力である東国武士が新たに彼のクライアントとなっていきます。
そうした武士のニーズに応えたため、武将のような体躯と顔つきをした仏像が制作されたということです。
戦いの神、毘沙門天は武士に人気が高かったため、依頼が多かったのでしょう。

● 高山寺の子犬

京都・高山寺には、石水院のレプリカの鳥獣戯画図が展示されていますが、その横にさりげなく子犬の像が置かれています。
愛らしいその犬が、運慶の長男、湛慶の作品と聞いて驚きました。
それもレプリカでしたが、今回実物を見ることができました。
つい撫でたくなるようなかわいらしさに満ちています。

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高山寺の子犬像 湛慶作


● 十二神将

干支に属した十二神将が勢ぞろいしていました。
京都の浄瑠璃寺伝来の像は、現在、7体が静嘉堂文庫美術館、5体が東京国立博物館に分かれて所蔵されているとのこと。
それが再び12体揃って展示されるのは、42年ぶりのことだそうです。
どの神さまも、頭に自分の担当の干支を載せていました。

● 龍燈鬼と天燈鬼

この2対の鬼たちは、運慶の三男、康弁の作。
龍燈鬼は頭に灯籠を載せ、「むむ、重い」という感じで目が上を向いています。
首には龍がマフラーのように巻き付いています。
天燈鬼は灯籠を「エイヤッ!」と片手で持ち上げています。力のかけ具合がリアル。
二体で「阿吽」を表している、4等身の小さい立像。
ユーモラスさがありながらも腕やお尻の筋肉は隆々として、とてもリアルな表現。
本当に物陰にいそうです。

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左・国宝「龍燈鬼立像」 右・「天燈鬼立像」 康弁作(奈良・興福寺蔵)


慶派という派閥だけあり、父・運慶・息子と、リアルな表現力は脈々と受け継がれています。
運慶は作品に玉眼(水晶を入れた目)を入れているため、さらに目の輝きで、表情が出ており、どの像も突然動き出してもあまり驚かないほどの存在感。
日本一有名な仏師が作り出した作品のクオリティは、他の追随を許さないほどで、全ての作品に感嘆し、圧倒されました。

会期中、もう一度くらい観に行きたいと思っています。
*作品画像は東京国立博物館の公式サイトより
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興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」
会場:東京国立博物館 平成館
期間:2017年10月11日(水)~11月26日(日)

運慶展(2回目レビュー)

2017年10月07日

室内楽・ピアノ・マラソンコンサート

2017年10月7日(土) 14時 開演(13:30開場)
会場:慶應義塾大学日吉キャンパス協生館内 藤原洋記念ホール
出演:慶應義塾塾生、一貫校生徒、教職員よりオーディションで選ばれたメンバー

面白そうだと思い、初めて足を運んでみました。
入退場も自由。中に入るとすでに始まっており、ヴァイオリンとピアノの二重奏が始まるところでした。

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演奏家の誰ひとりとしてプロではありません。ほとんどが慶応大学の塾生で、ほかに一貫校に通う生徒や教職員もおり、幅広い年齢層が参加しています。
慶応初等部や幼稚舎の子も出場していました。
ピアノ経験年数の差もあって、レベルもいろいろですが、オーディションを受けただけあり、皆さん総じてハイクオリティです。

主催者が前に立つわけでもなく、プログラムにも代表者の挨拶などは載っていません。
個人個人のエントリーのため、同じ曲目が重なるのもまたご愛嬌。
14時から18時の4時間という長い時間をこうした演奏会に使わせてくれる大学の方針がいいなと思います。
休日の午後の肩肘張らないコンサート。ゆったりと楽しめました。
posted by リカ at 23:23| Comment(0) | 【music】Classic・ピアノ | 更新情報をチェックする